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日本初の月面着陸機「OMOTENASHI」を載せた メガ・ロケット「SLS」の打ち上げ迫る

そのためSLSは再度、組立棟までの6.4kmの道のりをノロノロと戻されることになった。そもそもこのテストは、こうした不都合を見つけるためのもので、その症状も軽い。ただ、予定したカリキュラムをすべて消化できなかったため、6月6日から16日の間に予定されていた打ち上げは夏ごろまで延期されそうだ。

アルテミス計画がはじめて公表された2019年4月時点においては、この打ち上げは2020年に予定されていたが、今回の延期でほぼ2年間の計画遅延となる。

NASAの5代目宇宙船オリオン

オリオン宇宙船は、NASAとロッキード・マーティン社によって開発されたクルーモジュール(CM、図右側の円錐形の部位)と、欧州宇宙機関とエアバス社によって開発された欧州サービスモジュール(ESM)から構成される(NASA)
オリオン宇宙船は、NASAとロッキード・マーティン社によって開発されたクルーモジュール(CM、図右側の円錐形の部位)と、欧州宇宙機関とエアバス社によって開発された欧州サービスモジュール(ESM)から構成される(NASA)

NASAはこの60年間で、5タイプの有人宇宙船を開発してきた。

もっとも初期のものは、米国人をはじめて宇宙に到達させた一人乗りの「マーキュリー」(有人での初打上は1961年)であり、船外活動やドッキングを成功させた二人乗りの「ジェミニ」(同1965年)がそれに続き、三人乗りの「アポロ」(同1968年)が有人月面探査を成功させた。その後はスペースシャトルの時代が約30年間続くことになる(1981~2011年)。

シャトル退役の後、民間企業であるスペースX社の「クルー・ドラゴン」が2020年に有人フライトを実現したが、NASAブランドの国策宇宙船としては、オリオン宇宙船が本家直系の五代目となる。ただしこのオリオン宇宙船は、純然たる米国宇宙船とは言えない。

オリオン宇宙船はヒトが搭乗する「クルーモジュール」(CM)と、エンジンを搭載した機械船であるサービスモジュール(ESM)から構成されている。CMはNASAが開発し、ロッキード・マーティン社が製造しているが、ESMは欧州宇宙機関とエアバス社によって開発製造されている。つまり欧米合作の宇宙船なのだ。

低軌道へ100トンを持ち上げるメガ・ロケット

ロケットの種別として「スーパー・ヘビー・リフト・ランチャー」というものがある。これは、地球を周回する低軌道(高度2,000km以下)へ、NASAの規定では50トン以上、ロシアの規定では100トン以上のペイロード(荷物)を打ち上げることができる超重量級のロケットを意味する。業界的には「メガ・ロケット」とも呼称ばれる。

2022年時点において、米ロがともに認め、実際に運用されたメガ・ロケットは、アポロ計画で使用された「サターンV」(1967年、140トン)と、ロシア版スペースシャトル「ブラン」などを打ち上げた「エネルギア」(1988年、100トン)の2機種だけだ。

SLSには有人用、貨物用、第2段ロケットの推力などの違いによって6種のバリエーションがある。アルテミス1からIIIで使用される「SLSブロック1」は低軌道へ70トンを持ち上げるが、もっともパワフルな「SLSブロック2」は130トンの打ち上げが可能。アルテミスのミッションが進むと月面基地の建設もはじまるが、おそらくそこで使用されるSLSブロック2はメガ・ロケットとなる。

スペースX社は現在「スターシップ」を開発中だが、そのペイロード(低軌道)は100トンを予定していて、SLSブロック2とどちらが先に三代目のメガ・ロケットになるかが注目される。

同社の「ファルコン・ヘビー」のペイロードが63.8トン、「ファルコン9」が22.8トンであることから考えれば、メタ・ロケットがいかにパワフルであるかが理解できるだろう。

ちなみにスペースシャトルの場合、シャトル自体(オービター)の質量は約74.8トンで、そこに27.5トンの荷物を搭載できるので、102.3トンの物体が軌道上に到達することになる。そのためシャトルもメガ・ロケットと考えることができる。ただし、そのオービターは低軌道専用機のため、有人宇宙船を月や深宇宙に到達させることはできず、その用途は限定的だ。

日本初の月面着陸を狙う「OMOTENASHI」

近年では宇宙船や人工衛星などを打ち上げる際、ロケットのペイロード(打上能力)に余力があれば、その他の探査機や人工衛星などを搭載している。これを「ライドシェア」「相乗り」などと言う。

アルテミスIにおけるSLSでは、計13機の超小型探査機が相乗りするが、そのうちの2機がJAXAの「EQUULEUS(エクレウス)」と「OMOTENASHI」だ。


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