【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)は4日、主要政策金利を0・5%引き上げ0・75~1・0%にすると決定した。事実上のゼロ金利政策の解除と0・25%引き上げを決めた前回会合から上げ幅を倍増させ、インフレ抑制を急ぐ。0・5%引き上げは2000年5月以来、22年ぶり。6月から保有資産の縮小にも着手する。パウエル議長は0・5%の利上げを今後2回続ける可能性を示唆した。
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4日の連邦公開市場委員会(FOMC)の決定は全会一致。3月の前回会合では、新型コロナウイルス危機対応として導入したゼロ金利を取りやめ、3年ぶりに利上げした。今回は約40年ぶりの高水準となったインフレを押さえ込むため、急速な金融引き締めを進めていく方針を明確にした。
金融引き締めの効果がある資産縮小は、6月から米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を月475億ドルを上限に減らし、9月からは上限を950億ドルに引き上げる。資産を買い入れて景気を後押しする量的緩和策を進めた結果、保有資産は約9兆ドル(約1160兆円)に膨れあがっていた。
パウエル氏は記者会見で「政策金利をより通常の水準に迅速に引き上げる」と指摘。FOMCが当面の会合で、大幅利上げの継続を検討することになると説明した。同氏は、これまでの物価上昇が「想定外」だったとした上で、今後も「さらなるサプライズ」が起こり得るとの認識を示した。
金融市場では、インフレ退治のための利上げ加速などが景気を冷やし、いずれ不況に陥るとの懸念が根強い。だが、パウエル氏は、個人消費や設備投資、雇用は底堅く、「米経済は非常に良好だ」と強調。経済活動を過度に低下させることなく、物価の安定を取り戻すことに自信を示した。