100年に一度という自動車の変革期の象徴が、動力源の電気モーター化と自動運転ではないかと言われている。特に自動運転に至る過程においての運転支援技術は、死亡事故ゼロを目指す交通社会において急がれる課題。それに向かって各社凌ぎを削るなか、かねてから高速道路の単一車線上の手放し運転支援技術「プロパイロット」の開発を積極的に推し進め、運転支援技術に磨きをかけてきた日産は先陣争いの最中だ。
「リアルワールドでの認知性能」
20世紀では夢物語に思えていたような「死亡事故ゼロ」も、にわかに現実的になりつつある。今回日産が公開した「次世代運転支援技術」を体験して、近い将来への明るい光を見たような気がした。
日産が一歩足を踏み出したのは、リアルワールドでの認知性能である。これまでの自動運転技術は、ごく限られた環境での認知性能に限られていた。障害物を検知し、急ブレーキをかける。ステアリングが自動で反応し、危険を回避する。そういった性能も形にはなったが、たとえば障害物を緊急回避した直後にもう一つの危険が迫っているような場面での対応は遅れた。だがそんな複雑な状況に技術を投入したのである。
今回の体験テストでもそのあたりの実用性を確認している。路地からの飛び出しに対しては自動ステアリングで緊急回避に成功した。そしてさらに、回避した車線に飛び出してきた人(ダミー人形)に対しては急制動で対応した。
“意地悪”なテストでも有効性が確認できている。視界を遮るミニバンの背後を走行中、ミニバンが急旋回、すると正面からタイヤが転がってきた。それをも回避。「さらにその先で路地からクルマが飛び出してきた」といった、二重三重の危険に対しても反応してみせたのだ。