「易しく話す」ではなく「分かるように話す」 哲学史と歴史をYouTubeでレクチャーするエルマンノ

    高校生だけでなく大学生も聞く。さらに社会人にも広がっていく。かつて哲学を勉強したが、それほど深く勉強していなかったという人も聞くのである。

    「よく聞かれているのは20世紀の哲学史かな。難しいし、学校であまり勉強していないこともある。ただ、すごく熱心に学びたい人にとっては16世紀から18世紀が人気だ」(エルマンノ)

    イタリアの高校では5年間、毎週、哲学史を勉強する。ぼくにはその基礎がない。そのうえ高校で習うラテン語や古典ギリシャ語も勉強していない。よって聴者として、ぼくは末席も末席である。しかし、末席でもそれなりに楽しく学べる。それがミソだ。

    彼の話は「易しく話す」のではなく、「分かるように話す」のである。

    ロヴィーゴの街にある広場 ©Ermanno Ferretti
    ロヴィーゴの街にある広場 ©Ermanno Ferretti

    エルマンノは1979年に生まれた。三人兄弟の長男だ。今は引退したが、父親は救急医、母親は物理の先生だった。エルマンノは小さい頃、母親の職業が気に入らなかった。忙しいだけで低賃金の社会的な地位も十分に与えられていない職業と見えたのだ。しかし成長するに従い教師への見方が変わっていく。

    大学生になるまでは恥ずかしがりやの内向的な子どもだった。自身を外向的に変えていったが、もともと考えることが好きで、静かで穏やかな性格を育んでいった。

    「今、動画で喋りまくっているぼくを見ている人たちには想像がつかないだろうけど」と笑う。

    小学生から中学生までは音楽院に通いクラシックギターを習っていた。バスケットボールにも興じていたが、指をケガしやすいスポーツであり、ギターとの両立が難しかった。

    高校は科学系を選み、大学の進学では数学、コミュニケーション科学、歴史の三つで迷った。

    「わりと勉強がなんでもできる子だった。そこで、ジャーナリストになりたいと思って歴史を選んだ」


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