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DXに「幻滅」するのは「期待」を寄せ過ぎたから? 革新技術を使いこなすために必要な「適切な改善」とは

失望感にさらされるオンライン授業

コロナによって私の関わっている教育業界で最も大きな動きとなったのが、「オンライン授業」でした。強制的に自宅に待機せざるを得なくなった子どもたちに学校教育を届けるために一気にオンライン化が進みました。オンライン化が「進んだ」というのは言葉が違うかもしれません。実際には、強制的にオンライン化され大きな問題が巻き起こったというのが現状です。

そもそも教育のオンライン化は古くは予備校の録画授業に始まり、2016年にはMIT(マサチューセッツ工科大学)がオンライン受講を実現して大きなニュースとなりました。しかし、それはほんの一部の人々のニーズに応えたもので、大きな進化となりませんでした。ところが、今回はまさに国を挙げて後押しした結果、学生生徒のほとんど全員を巻き込んだわけです。「コロナをきっかけにピンチをチャンスにする」という声もあり、大きな期待も込められた動きだったと言えるでしょう。

そして現在、「オンライン授業」は大きな失望感にさらされています。“対面授業にできてオンラインではできないこと”に注目が集まっています。「生徒のノートを見て回ることができない」「生徒の集中力が続かない」などです。

「過度な期待」と「幻滅期」

オンラインでしかできないこともあるのですが、それらの「失望」はいずれも減点方式の評価です。「先駆者ではない人々を一気に巻き込もうとする技術革新」においては、このような「過度な期待」とそれに伴う「幻滅期」という流れが必ず見られるものです。

このような技術が普及までにたどる変遷を、アメリカのITリサーチ会社ガートナー社が「ハイプ・サイクル」で上手く整理しています。

ガートナーの「ハイプ・サイクル」とは、新たに登場した技術などが、黎明期を経て、一気に過度な期待が膨らみピークを迎えると、そこから反動で「幻滅期の谷」へと向かうという流れのことです。そこから、一部の優良なプレイヤーの改善によって「啓発期」から「生産性の安定期」へと落ち着いていきます。

ガートナーは、話題になった技術が現在どのフェーズにあるかというのを毎年発表しています。たとえばAR(拡張現実)は2020年の時点で「幻滅期へと進んでいる」という評価なのですが、これはみなさんの実感と一致するのではないでしょうか。

幻滅したのは技術が「役立たず」だったから?

オンライン教育もこのサイクルでいうと一気に「幻滅期」に向かっていると言えるでしょう。この「幻滅期」で大事なのは、技術自体が「役立たず」だったということではなく、技術初期であるがゆえの不具合に対して、大袈裟に期待した人たちが幻滅し、一部が退場しているに過ぎないという点です。

退場するのは、技術を提供する側もそうですし、消費者も同じです。オンライン教育を提供しようとして、「ZOOMで授業」に取り組んだ人たちは、思ったように効果が出ないのでやめてしまう。受講する側も「なんとなく違った」ということで退場してしまうのです。ハイプ・サイクルで理解したいことは、この幻滅期に「適切な改善」をしたプレイヤーは生き残り、「適切な対応」をした消費者はその恩恵を受けるフェーズへと進むことができるという点です。


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