ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)」の開発者として知られ、今年4月に新設された近畿大情報学部の学部長に就任した久夛良木健(くたらぎ・けん)氏(71)が、大阪府東大阪市の近大東大阪キャンパスで学生への指導をスタートさせた。同月下旬の初講義では、最新の情報技術(IT)をうまく活用した起業などの可能性を示し、「みんなで一緒に未来をつくりたい」と呼びかけた。
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講義は「久夛良木ゼミ」と題して年間24回行う計画。久夛良木氏が学生と対話も重ねながら、人工知能(AI)やゲームの未来、医療革命など最先端のイノベーション(技術革新)を学ぶとしている。
初講義では、IT用語でどちらもインターネット上の仮想空間を舞台にする「デジタルツイン」と「メタバース」の意味と違いについて取り上げた。
デジタルツインは現実世界のさまざまな情報を収集し、コンピューターで事象を再現する技術で、自動運転車の開発などで活用が進み、「世界がどんどん情報化する」と解説。一方、メタバースはアバター(ネット上の分身)などを使った「ファンタジー(架空)の世界」と指摘した。
聴講した同学部1年の松本朔哉(さくや)さん(18)は久夛良木氏に学べる機会があると思い近大に入学したといい、「期待通りの講義だった」と感想を話した。初講義は動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信されている。