国交省、JR各社に新幹線耐震補強工事の前倒し要請方針 月末に有識者検証委

    最大震度6強を観測した3月の福島県沖地震で被災した東北新幹線が長期間運休したことを受け、国土交通省は17日、JR各社に新幹線耐震補強計画の前倒しを要請する方向で検討すると明らかにした。新幹線の耐震化技術などを協議する有識者による検証委員会を設置。検証結果を踏まえ、耐震化工事に必要な費用の運賃上乗せを容認するかどうか省内で議論を進める。

    斉藤鉄夫国交相は同日の閣議後記者会見で「耐震補強の前倒しや優先順位などについて幅広く検討する必要がある」と述べた。

    国交省によると、運賃の変更は認可制で、事業者の申請を国が審査。通達では、鉄道事業の収支が赤字の時に限り運賃の値上げを認めている。

    検証委の初会合は今月31日に開催。脱線対策や耐震補強工事などについて検証するという。技術的な検証結果を踏まえた上で、各新幹線の耐震補強工事を促進するため、工事費用の新幹線運賃への上乗せを容認することも視野に議論する。

    東北新幹線は3月16日深夜の地震で「やまびこ223号」が脱線し広範囲で運休。点検や修復が済んだ区間から順次運転を再開したが、脱線現場を含む福島-仙台間は復旧作業が遅れ、全線の運転再開まで約1カ月、通常ダイヤへの復帰まで約2カ月かかった。

    JR東日本によると、高架橋や電柱など約1千カ所が損傷したが、耐震補強が終了した箇所の損傷はほぼなかった。東北、上越新幹線で耐震補強が必要とされた高架橋の柱約5万5千本のうち耐震化が済んだのは7割弱の3万6600本。電柱は約2万本のうち1割強の約2250本にとどまっているという。


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