新型コロナウイルス対策の行動制限がない3年ぶりの大型連休では人の流れが活発化し、終了後の感染急拡大が懸念されていた。だが18日までに、急激な感染拡大は起きていない。東京と大阪では今週の1日あたりの新規感染者が1万2千人以上に達するとの見方があったものの、実際は連休前とほぼ同水準だ。専門家は新たな変異株が流行しなかったことや、感染拡大「第6波」で獲得した自然免疫が影響した可能性を指摘している。
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「大きな変動は起きていないと思っています」。大阪府の吉村洋文知事は18日の対策本部会議で、府内の感染状況についてこう分析した。
念頭にあるのは、11日に開かれた厚生労働省の専門家会合で報告された国立感染症研究所の予測値だ。1日あたりの新規感染者数は16日に、東京都で1万2194人、大阪府で1万2724人にのぼる可能性が示されていた。
だが、大阪府では連休後の新規感染者数が一時増加に転じたものの、14日以降は前週比の感染者数が5日連続で減少し、18日は182人減の3497人にとどまった。東京都でも18日の新規感染者数は前週比409人減の4355人だ。
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気温が上がって室内の換気がしやすくなったという季節要因も考えられるが、専門家はどう見るのか。
「感染状況には人流よりも変異株の影響が大きく出るようだ。今は新たな変異株がなく、幸いだった」と分析するのは関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)。連休中、行楽地などでもマスクをしながら注意深く行動していた人が多かったとして、こうした行動も、感染急拡大を防いだ要因の一つとみている。
順天堂大大学院の堀賢(さとし)教授(感染制御学)は、高齢者の3回目ワクチン接種率が8割を超えたり、「第6波」で感染した人に自然免疫が残ったりしていたことが影響していると指摘。「連休の影響で今月下旬にかけて一時的に感染者数が増加するとみられるが、第6波ほどにはならない」と予測する。
ただ堀氏は、第7波の到来について「新たな変異株の出現がきっかけになる。病原性が高ければ入院患者が増え、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する可能性がある」と警戒感を示した。