資生堂は20日、令和2年12月に稼働した「大阪茨木工場」(大阪府茨木市)を報道陣に初公開した。〝メード・イン・ジャパン〟が武器になる高価格帯のスキンケア化粧品を国内で製造し、物流センターも併設して国内外への供給力を高める狙い。百貨店や専門店向けの製品が多いことから、回復の期待が高まるインバウンド(訪日外国人客)需要も取り込みたい考えだ。
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635億円を投じた工場・物流センターは地上7階建て、敷地面積は約7万2千平方メートル。高級スキンケアブランド「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」などを製造する。3年3月に稼働した併設の物流センターには世界初の出荷システムを導入。工場から製品が自動入庫し、製品はそのまま梱包(こんぽう)や荷札貼り付けの工程に自動で流れていくため、物流センターの従業員は移動の負担がなく作業ができるという。作業効率が上がるため、5年以降に年間1億6千万個の製品製造を目指す。
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この日、同工場で会見した魚谷雅彦社長は「経済合理性の観点から多くの企業で生産拠点を海外へ移管する流れもあったが、わが社が作るのは肌に付ける製品。高級品になればなるほど、誰がどこで作っているかが重要」として、厳格な品質管理や感性が築かれている日本で作ることがブランド価値につながると強調した。
「大阪茨木工場」で作るのは現在、全売上高の約5割を占める高級化粧品で、令和3年の売上高は前年から18%伸びた成長分野。足元では新型コロナ禍で国内の化粧品販売は落ちたものの、スキンケア製品はメーク用品より利益率が高いうえ、今後は国内だけでなく中国などアジア市場でさらに伸ばせるとみている。同社は令和元年に栃木県大田原市で「那須工場」を、さらにこの5月末には福岡県久留米市でも「福岡久留米工場」を稼働する計画で、いずれも中価格帯のスキンケア製品を製造する。(田村慶子)