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国民への「お金配り」を渋る日本政府が根本的に誤解していること 貯蓄は正しかった

PRESIDENT Online

2020年5月、政府は新型コロナの経済対策として、全国民に一律10万円の現金給付を実施した。しかし、この施策は「7割が貯蓄に回った」と多くの批判を受けた。経済アナリストの森永康平さんは「現金給付が1回限りなら、貯蓄に回るのは当然だ。米国のように給付が複数回になれば、多くが消費に回っただろう」という――。※本稿は、森永康平『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。

コロナ禍で減少した出生数と婚姻件数

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yuruphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yuruphoto

コロナの影響は物価や労働市場だけでなく、人口動態にも影響を与えている。厚生労働省が発表した2020年の人口動態統計によれば、出生数は前年から2万4407人少ない84万832人となり、1899年の調査開始以来過去最少となった。

これで5年連続の減少であり、長期でみても日本の出生数は減少傾向にあるので、コロナだけが原因とは言い切れない。ただ、コロナ禍では妊婦はなるべく外出を避けたいが、妊娠をしたら定期的に病院に赴く必要がある。また、病床使用率が高まり、医療資源が逼迫するような状況下で出産予定日が近づくと、不安要素が多すぎるため、多くの夫婦が子どもを作ることを控えた可能性が高い。

実際、2020年4月には新型コロナウイルス感染者が急増する中で、日本生殖医学会は不妊治療(人工授精、体外受精・胚移植、生殖外科手術などの治療)の延期を選択肢として患者に提示するよう声明を出した。

コロナ禍において減少した数字は他にもある。それは婚姻件数だ。

図表1に示した通り、婚姻件数も出生数のように長期でみて減少傾向にあるが、2020年は前年比▲12.3%と歴史的な大幅下落を記録している。コロナの影響が大きく出ているようにみえるが、これは2019年が令和婚ブームを背景に同+2.1%となっていた反動である。

とはいえ、2009〜2018年までの10年間の平均変化率が▲2.1%ということから、2020年が仮に2019年から2.1%減少した場合と実数の差分から算出すれば、10%ほどの下落幅はコロナによるものと考えてよいだろう。

周りの婚活中の友人や結婚を前提として付き合っている相手がいる知人に聞いてみると、やはりコロナ禍では出会いが減ったという声や、結婚式なども考えて婚姻届の提出を控えたという声は多く耳にした。子どもを作ることを控える夫婦が増え、子どもが生まれる前段階にあたる婚姻件数も減り続けるのならば、日本の少子化は加速していくだろう。

児童虐待の検挙件数は増加した

コロナ禍で増加した数字もある。それは児童虐待の検挙件数だ(図表2)。

失業や休業、またはリモートワークによって、コロナ前に比べ親が家にいる時間が増える一方で、子どもも休校や休園で家にいる時間が増えたというケースは多い。結果として親子が一緒に家で過ごす時間が長くなったことで、それが皮肉にもお互いのストレスにつながり、虐待を生んだと考えられる。

実際にはこの数字以上に虐待を受けている子どもがいると考えたほうがいい。家庭訪問や幼稚園・学校での行事がなくなったり、オンライン授業の導入によって、家族以外の大人が子どもの異変に気付く機会が減っているからだ。


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