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天才経営者・孫正義も想定外だった…ソフトバンクを1.7兆円の大赤字に沈めた「世界経済の2大変化」

PRESIDENT Online

これまでのビジネスモデルは限界を迎えつつある

投資会社であるソフトバンクグループの業績が急速に悪化している。その要因として、物価急騰など世界経済の環境激変によって同社が投資してきたIT先端分野のスタートアップや先進企業の業績が急速に悪化したことが大きい。

世界的に緩和的な金融環境が急速に正常化され、金利も上昇した。その結果、ITなど先端分野の企業の株価が急速に下落した。IT関連の先進企業に投資して高い成長を目指すソフトバンクグループのビジネスモデルは限界を迎えつつあるとの見方もできる。

今後、世界経済の環境変化はさらに激化するだろう。特に、原油価格の上昇や食糧不足の深刻化などによって、世界全体で経済成長率の低下と物価の上昇懸念が急速に高まっている。新しい需要を創出できるか否か、企業の実力がこれまで以上にはっきりする。ソフトバンクグループはリスク管理体制を強化して、しっかりとしたビジネスモデルを確立できている企業と、それが難しい企業を見極めなければならない。それが今後の事業運営体制に決定的な影響を与えるだろう。

5兆円の黒字→大赤字に転落した2つの要因

2021年度のソフトバンクグループの純利益は1兆7080億円の赤字だった。世界的な金融緩和の強化によって株価が急反発し純利益が4兆9879億円に達した2020年度の決算と比較すると、業績悪化は急激だ。それだけ世界経済の環境が劇的に変化している。その変化は2つに分けて考えると良い。

1つ目が、感染再拡大や競争の激化、人手不足などによって出資先であるスタートアップ企業などのビジネスモデルが行き詰まりはじめた。ウクライナ危機をきっかけに世界経済はグローバル化からブロック化に向かいはじめ、リスクを避ける投資家や企業経営者も急増している。その結果、これまで低コストで資金を調達し、急速に成長してきた先進企業の成長が鈍化しはじめた。

一例に、2021年12月期決算においてソフトバンクグループが出資するグラブ(配車アプリなどを手掛けるシンガポールの新興企業)の最終損益は35億5500万ドル(約4100億円)の赤字だった。コロナ禍によってデジタル化が急速に加速する中で、同社はプラットフォーマーとしての競争力を高めるためにマーケティング費用や設備投資を積み増した。

ウィーワーク、ペイティーエム…株価が相次ぎ下落

しかし、需要の飽和と競争激化によって投資の効果が発現しづらくなっている。追い打ちをかけるように米国ではGAFAの業績拡大が鈍化し、世界全体でIT先端分野の成長期待は低下し先行き不透明感が高まった。有力なIT先端企業に比べて経営体力が小さい分、スタートアップ企業の資金調達コストは急速に増え、事業運営の効率性が鈍化している。グラブ以外にも、ソフトバンクグループが出資する米ウィーワーク(シェアオフィス運営企業)やペイティーエム(インドのモバイル決済大手)の株価が下落した。

また、中国では共産党政権が共同富裕を掲げてIT先端企業への締め付けを強めた。2021年6月に共産党政権の警告を無視してニューヨーク証券取引所に株式を上場したディディ(滴滴出行)は当局から安全保障を理由に調査され、中国国内でアプリの新規ダウンロードができなくなった。収益が急減する一方でデータ管理やギグワーカーの保護への支出が急増し、2021年12月期決算は500億元(約1兆円)の最終赤字に陥った。


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