3年ぶりの北海道乳牛共進会 体格や乳房の形を審査 コロナ禍での成果競い合う

    スーツ姿の審査員を取り囲むように行進する出品者と乳牛=21日、北海道安平町の北海道共進会場(坂本隆浩撮影)
    スーツ姿の審査員を取り囲むように行進する出品者と乳牛=21日、北海道安平町の北海道共進会場(坂本隆浩撮影)

    講評では「乳用性に富んでいる」「乳房の輪郭が鮮明」「乳房の腹部への付着性がいい」など、出品された牛の多くが僅差で上位を争った。入賞牛の多くは酪農専業農家の多い道東地域からの出品だった。

    コロナ禍で酪農現場の取り組みにどんな変化があるのか心配されていたが、上野さんは「生乳生産に大きくかかわる乳房は改良の成果が顕著に出る。今回も多くの牛からその成果が感じられた」と、3年ぶりの共進会を振り返った。

    長命連産

    乳牛改良が目指すのは、健康で長く生乳を生産できる牛づくり。業界では「長命連産」と呼ばれている。一頭あたりの生乳生産量も重要な要素で、乳量などで優秀な成績を持つ遺伝子を取り入れたり、飼養環境の管理技術を向上させたりするなどし、業界を挙げた取り組みが行われている。

    業界団体のJミルク(東京都)の公表資料によると、調査データが残る昭和50年度の経産牛1頭あたり年間乳量は全国平均4464キロ。それが平成元年度には約1・4倍の6380キロ、直近の令和2年度にはほぼ2倍の8806キロに向上した。

    少子高齢化を背景とした酪農家戸数の減少など生乳生産環境が厳しさを増す中で、効率的な生産は不可欠。道内の酪農団体関係者も「生乳需給の安定と乳牛改良は今後も両輪で続けていく必要がある」と力を込める。

    酪農家交流の場にも

    過去に北海道や全国共進会で上位入賞した経験があり、今回も部門別2位を獲得した陸別町の酪農家、編田(あみた)尚弘さん(46)は「共進会は仕事の成果を表現する場。順位がつくことで自分の乳牛改良のレベルを知る機会にもなる」という。高品質な牛乳供給や酪農経営の安定化の土台には、こうした積み重ねが大きく影響するとの認識だ。

    さらに共進会会場に集まる同業者との交流や学びの機会が「人や牛、酪農産業を育てる重要な場所になっている」とも。

    コロナ前は地方開催の共進会で地場産食材なども販売され、一般来場者も多かったという。編田さんは「共進会の場が再び交流拠点として活気づくようになれば」と期待を込めた。(坂本隆浩)


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