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「外国人食堂」地域との架け橋に、大阪の企業が開設 健康相談や日本語講座も

海外から来日し、慣れない日本語に苦戦しながら生活する外国人と地域社会をつなぐ「外国人食堂」を、大阪市浪速区の外国人就労支援企業「YOLO JAPAN(ヨロジャパン)」が始めた。食事を提供するだけでなく、健康相談や日本語講座も開催。長期化する新型コロナウイルス禍もあって、経済的にも厳しい状況から孤立を深めやすい人たちの新たな「居場所」として活動を広げていくという。

ボランティアで参加する高校生(左から2人目)との交流を楽しむ外国人食堂の利用者=大阪市浪速区
ボランティアで参加する高校生(左から2人目)との交流を楽しむ外国人食堂の利用者=大阪市浪速区

「医師の言葉は難しく、自分の言いたいこともうまく伝わらないんです」。4月27日、同社が運営する施設「YOLO BASE(ヨロベース)」(同区)で初めて開かれた外国人食堂。フィリピン出身の下世(しもせ)シャーリンさん(42)が、英語でのやりとりができる看護師による健康相談のブースで訴えた。

下世さんは約20年前に来日。日本人の夫との間に3人の息子を育てているが、最近、三男(13)の原因不明の体調不良が続く。下世さんは日常会話には不自由しないが、病院で医師に症状を伝えたり、検査の説明を求めたりといった日本語での意思疎通は難しい。通訳が利用できる病院を教えてもらい、「日本とフィリピンでは治療内容も何もかも違う。いろいろと相談ができて助かった」とほっとした表情を浮かべた。

大阪市は全政令指定都市で最多の外国人住民を抱え、全市民の約5%に当たる13万8748人が居住している(昨年末時点)。

同社カスタマーハピネス部長の北山玲奈さんによると、慣れない環境で過ごす外国人が、コロナ禍も相まって孤立を深めるケースが増加。就労先を見つけられなかったり、日本語学校で対面授業が受けられなかったりとさまざまな苦労があるという。

こうした窮状を受け、同社は別の企業の寄付も募って外国人食堂を企画。この日は施設内のカフェでカツカレーを無償提供し、日常会話に役立つ日本語講座を開いた。コロナ後の訪日客回復を見込み、外国人の雇用に意欲的な飲食業の企業による就職面談もあった。

会場の案内や日本語講座の盛り上げ役を担ったのは、近くの通信制高校「第一学院高校大阪キャンパス」(同区)の生徒たち。

2年生の大江あかりさん(17)は4年間フィリピンで過ごした経験がある。英語を交え、好きなアーティストに関する話題などで盛り上がり、「外国の人と話す機会は日本だとなかなかない。こういう機会はうれしい」と笑顔。将来、海外に関わる仕事に就きたいという3年生の栗田瑠生さん(17)は、「困っている外国人は多く、優しい社会になってほしい」と話した。

引率した同校副キャンパス長の松崎竜也さん(37)は「通信制は全日制と比べ、生徒が人とコミュニケーションを取る機会が少ない。だからこそ地域に出て学ばせたい」と意図を説明。外国人支援のボランティア活動を生徒自身の学びにつなげてほしいと期待する。

4月にクウェートから来日したばかりというイブラヒム・アルアーメルさん(21)は「日本人はシャイなイメージだったが積極的に声をかけてくれて印象が変わった」とイベントを楽しんだ様子だった。

北山さんは「日本で孤立しやすい外国人と通信制で人と関わる機会が少ない生徒の双方を結びつける『居場所』として今後も継続したい」と意欲を見せた。今後、月に1回程度実施したいとしている。(木ノ下めぐみ)


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