静岡県は25日、新型コロナウイルス対策でのマスク着用について「未就学児は原則不要」とする県民向け方針を明らかにした。分かりやすくするため、国の「一律に着用を求めない」との方針より踏み込んだ表現としたが、保育の現場からは「マスク着用を望む保護者が多い」「感染再拡大の可能性は捨てきれない」と戸惑う声も聞かれる。
県は、23日改定された国の「基本的対処方針」に沿って、県民向け指針を策定。ただし分かりやすさを優先し、未就学児は「原則不要」、小学生以上は「近い距離で会話しない限り屋外では不要」とした。
県健康福祉部の後藤幹生参事は専門家意見も踏まえ、子供のマスク着用について「熱中症のリスク、情緒や言語の発達への影響」を指摘。2歳以上に推奨してきた着用を「原則不要」とした。ただ「着用が必要な場面は変わることもある」とも述べ、外出時は常にマスクを持ち歩き、感染対策が緩むことのないよう注意も促した。
「分かりやすくした」という県の説明だが、保育の現場には困惑もある。
静岡市駿河区の「だきしめこども園」はこれまで4、5歳児には原則着用を求めつつ、外遊びの際は外す-と臨機応変な対応をとってきた。
それだけに、小林かおり園長は「これまでマスクを『着けて』とお願いしてきたものをすぐに『外して』とするのは…」と戸惑いを隠さない。梅雨入りすれば、感染防止のための窓を開けた換気がしづらくなる。「熱中症の心配が出てくる7月以降、少しずつ屋内もマスクを外す方向になるのでは」と、しばらくは手探りが続くと予想した。
一方、川勝平太知事はこの日の記者会見で「ワクチン3回目接種の割合が低い20~40代に新規感染者が多い」として、県運営の集団接種会場3カ所で27日から4回目接種を始めると発表した。60歳以上と、基礎疾患のある18~59歳の県民のうち、3回目から5カ月以上経過した人が対象。