「月額0円」終了の楽天モバイル、勝負は半年後か 赤字解消でもユーザー流出の懸念

本格的な流出はまだ先か

ただ月額0円の仕組みは非常に好評だっただけに、それを止めてしまえば既存ユーザーから不満が出ることは明白だ。それだけに楽天モバイルも、当初は現行の料金プラン利用者はRakuten UN-LIMIT VIを利用し続け、新規ユーザーに対してRakuten UN-LIMIT VIIを提供することも検討したという。

それを実施しなかったのは、電気通信事業法第27条の3に抵触する可能性があるためだと同社は説明している。これは携帯電話会社が利用者に対し、契約の解除を不当に妨げて競争を阻害することを禁止するもので、新プランより安価な現行プランを提供し続けることが囲い込みとみなされることを懸念し、旧プランの維持を断念したようだ。

楽天モバイルのロゴ(三尾郁恵撮影)
楽天モバイルのロゴ(三尾郁恵撮影)

その結果、ユーザーから多くの不満が出てしまったことは確かで、楽天モバイルの姿勢に不満を抱いたユーザーが早速他社に流出しているのではないか?という動きも相次いでいる。実際、月額0円から利用できる点で共通しているKDDIの「povo 2.0」は2022年5月14日に、MVNO大手で低価格サービスに強みを持つ、インターネットイニシアティブのモバイル通信サービス「IIJmio」は2022年5月17日に、それぞれ新規契約の申し込みが集中し、本人確認に遅れが出ていることを明らかにしている。

楽天モバイルにとって月額0円で利用していたユーザーが流出することは経営上やむを得ないことだが、一方で競合他社、とりわけ月額1000円以下の低価格サービスを提供する事業者にとっては、楽天モバイルから流出する顧客を獲得できる絶好の機会となっているようだ。そこで好機を逃すまいと、早速勝負を仕掛けるサービスも出てきているようだ。

その最たる例がソフトバンクのオンライン専用プラン「LINEMO」である。LINEMOは携帯3社のオンライン専用プランの中で苦戦が続いていたが、楽天モバイルが新料金を発表した2022年5月13日以降に新規契約が急増。とりわけ、月額990円で3GBの通信量を利用できる「ミニプラン」は、番号ポータビリティでの転入が2.6倍以上に増えたという。

そこでLINEMOでは2022年5月20日より、ミニプランの新規契約者や乗り換えユーザーに対し、最大6カ月間、月額990円分のポイントを還元して実質無料で利用できるキャンペーンを実施。低価格プラン限定でお得なキャンペーンを打ち出すことにより、楽天モバイルから流出するユーザーを狙い撃ちで獲得しようとしている様子を見て取ることができる。

ただ楽天モバイルは新料金プランの提供開始後も、4カ月間は通信量1GBであれば月額0円、あるいは実質0円で利用できるキャンペーンを展開予定で、その間は楽天モバイルを使い続けた方がお得だともいえる。そうしたことから楽天モバイルから本格的に顧客が流出するのはもう少し先ではないかと筆者は見ているが、その間、競合他社のサービスはLINEMOと同様に、楽天モバイルを狙い撃ちしたキャンペーンを展開するなどして攻勢を強めてくるだろう。

たとえ月額0円を求めるユーザーの減少で赤字幅が縮小したとしても、お金を支払ってくれるユーザーが多く残らなければ今後の収益化に不安が残ってしまう。それだけに楽天モバイルの今後を占う上でも、半年のうちに競合のキャンペーンなどでどの程度のユーザーが流出し、「楽天モバイルにお金を払ってもいい」という人がどの程度残ってくれるのかが、非常に大きな関心を呼ぶことになるのではないだろうか。

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