政府が6月上旬に決定する「新しい資本主義」の実行計画案の全容が30日、分かった。公的年金に上乗せする私的年金の一つ「個人型確定拠出年金」の「iDeCo(イデコ)」について、加入対象年齢を現行の64歳以下から65歳以上に引き上げる。成長のエンジンとなるスタートアップ(新興企業)の支援策をまとめた「5カ年計画」についても、年末までに策定する。
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イデコは運用益が非課税となるメリットがあり、受給額は掛け金の運用結果で決まる。加入対象年齢の上限は5月に59歳以下から「64歳以下」まで引き上げられているが、70歳程度に延ばす案が浮上している。希望者が70歳まで働ける機会の確保が企業の努力義務になったことを背景に、資産形成を後押しする方針。
岸田文雄首相が提唱した資産所得の倍増を実現する目玉施策として、少額投資非課税制度(NISA)の拡充などとともに、来年夏までに具体策をまとめる。
新しい資本主義の実行計画案では、イデコ拡充を含む人への投資や、新興企業支援、科学技術への投資、脱炭素化やデジタル化の加速を4つの柱として、重点的に投資する方針を示す。必要となる財政出動や税制改正については「中長期的な観点から機動的に行う」と記すにとどめる見込み。
岸田政権が特に重視する人への投資では、ITなど成長分野への労働移動に力を入れ、転職やキャリアアップについて社外相談できる体制を整備するなど100万人に支援を提供する。
新興企業支援では、不動産担保に頼らずに成長資金を調達しやすくするため、事業価値全体を担保にできる制度を整備する。科学技術への投資では医療や金融分野などでの活用が見込まれる「量子技術」や人工知能(AI)などの研究開発を振興し、新産業創出を後押しする。