ウクライナ国歌に大きな拍手 千葉・八千代で支援コンサート 少年少女合唱団など

    ウクライナ国歌をデニス・ビシュニャさん(前列右)らと歌った八千代少年少女合唱団=22日、八千代市市民会館
    ウクライナ国歌をデニス・ビシュニャさん(前列右)らと歌った八千代少年少女合唱団=22日、八千代市市民会館

    千葉県八千代市で、ロシアの侵攻を受けているウクライナへの人道支援コンサートが開かれた。市民会館の大ホールをほぼ埋めた約800人から大きな拍手が起こったのは、地元の八千代少年少女合唱団がディズニーの曲などのメドレーに続き、ウクライナ国歌を歌い終えた直後だった。ウクライナ出身の男性歌手と首都キーウから避難した少女も一緒の舞台に立っていた。2人は国歌に胸を熱くした。

    「子供たちのウクライナ語の歌に感動しました。リハーサルから泣きそうになりました」。合唱団とともに国歌を歌い終えたバリトン歌手、デニス・ビシュニャさん(44)は、そう話すと目頭を押さえた。キーウ国立音楽院卒業後、キーウ市立歌劇場ソリストとして活動し、平成20年から日本を拠点にしている。

    民族衣装姿のデニスさんの隣で国歌を歌ったクリスティーナ・オクサーニチさん(15)は3月、キーウから避難してきた。母親と一緒に叔父のデニスさんを頼って日本へ。現在は東京都内の高校に通う。

    国歌の名は「ウクライナは滅びず」。原形は、ロシア帝国支配下の1860年代に誕生したという。旧ソ連からの独立後、正式に国歌して採用された。ロシア帝国の支配から自由を勝ち取ろうとの歌詞は、現代のウクライナの人々を励ましているようだ。

    「大事なふるさとの歌。素晴らしい」。会場に駆け付けた八千代市在住のウクライナ出身の女性(47)はそう話した。市によると、2世帯3人がウクライナから避難。この女性のもとには、女性のいとこと子供が身を寄せている。

    合唱団の長岡利香子代表は「デニスさんたちを勇気づけたい。ウクライナで頑張っている人たちに歌を届けたい」と、子供たちが国歌を歌った経緯を説明する。子供たちは動画投稿サイト「ユーチューブ」で見つけた国歌の歌詞を聞き取って起こし、楽譜を探した。「他国の国歌を歌うことは友情につながる。八千代の子供たちの気持ちが遠いウクライナにも届いたでしょう」と長岡代表。

    デニスさんは取材で、日本、そして同市への感謝を繰り替えした。

    「八千代には初めて来たが、あたたかい心で客席とステージがつながった。ありがとうございました」

    5月22日に行われたコンサートは、八千代市や商工会議所、国際交流協会、少年少女合唱団などの代表者らによる「ウクライナ支援事業実行委員会」が企画した。

    委員会は4月23日にも、戦争が引き起こした悲劇を描き、ウクライナで撮影されたイタリア映画「ひまわり」(1970年)の上映会を開いた。市によると、コンサートと上映会の収益、会場での募金などの計約278万円をウクライナ側に寄付するという。


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