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値上げ相次ぐ中、プライベートブランド商品はなぜ安い

食品の値上げが相次ぐ中で、低価格を身上とするプライベートブランド(PB)商品の売れ行きが好調だ。低価格PBで実績のあるイオンや西友は6月末までPB商品の価格を据え置くとしており、その後についてもできる限り値上げしない方針だ。世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱や、燃料価格の高騰による輸送費上昇などを背景に、多くの商品が値上げされる中でPBはなぜ価格を維持できるのか。背景を探った。

イオンが展開するPB商品「トップバリュ」の一例(イオン提供)
イオンが展開するPB商品「トップバリュ」の一例(イオン提供)

イオンは現在、約5000品目ものPB商品「トップバリュ」をラインアップしている。中でも人気があるのが、低価格を追求したシリーズ「ベストプライス」だ。525ミリリットル入りの飲料「ハト麦ブレンド茶」や「スポーツドリンク」の価格は税込み62円と、飲料メーカーが自社ブランドで展開する商品より2~5割も安い。

イオンの広報担当者は、低価格で商品を提供できる理由の一つとして「製造会社との直接取引で大量に購入する」ことを挙げる。大量購入を約束するため、メーカー側は原料を大量調達によって安く仕入れることが可能になる。製造ラインの稼働ムラを抑え、計画的な生産を行えるメリットもある。

流通側も、コストダウン努力を重ねている。ラベルや包装などの簡素化はその一つ。できる限り広告宣伝費もかけないなど、「さまざまな面でコストダウンしている」(イオン広報担当)という。

約1200品目のPB商品「みなさまのお墨付き」を展開する西友は、全国330店舗のレジをクラウドで一括管理する仕組みを構築、日々変わる商品の価格を各店舗でレジに入力する手間を省いた。同社の広報担当者は「1店舗当たりでは小さな効率化でも、330店分となると大きい。その浮いた分の労働力で店内調理など増加する他の業務に対応し、全体として省力化できた部分を価格維持につなげている」と話す。

両社がPBの価格維持を宣言しているのは6月末まで。だが、今後もコスト削減努力を続けることで、PBの価格を可能な限り抑えていく考えだ。

こうした低価格戦略に対する消費者の評価は高い。西友は、PBの売り上げが年間20%程度伸びている。特に、大手メーカーの値上げが相次いでいる小麦を原料とした商品分野や油脂類などで伸びが大きいという。イオンも「販売は好調に推移している」といい、今後もラインアップの強化を進めていく」(広報担当者)としている。

一方、PBによって自社ブランドの販売に影響が出かねないメーカー側のメリットは何か。

大手流通向けにビールテイスト飲料のPB商品を生産する大手飲料メーカーの関係者は、「工場を計画的に稼働できるメリットが大きい」と話す。大量発注を約束してくれるので、自社製品の売れ行きにかかわらず効率的な生産が可能になるため、トータルで生産コストの低減につながるのだという。

もちろん自社ブランド商品の売れ行きに影響が出ることは避けられないが、「(売り場を提供してくれる)流通業者との関係を良好に保つためにも重要な商品だ」と打ち明ける。

農林水産省の食品価格動向調査によれば、今年に入ってから食パンなどの小麦加工品や食用油などを中心に店頭価格が上昇している。例えば食パンは、令和2年に比べ1割以上高くなった。今夏以降の値上げも続々と発表されており、原油や穀物の価格上昇が沈静化する兆しは見えない。「生活応援」を旗印に、リーズナブルで付加価値の高い流通各社のPB商品の存在感は今後、さらに高まりそうだ。(青山博美)


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