持続化給付金は新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んだ個人事業主や中小企業を政府が支援する制度として、多くの人々の暮らしや経済を下支えした一方、給付のスピードを優先し、〝性善説〟に基づいた簡易な仕組みにしたことで、不正が多発する事態も招いた。他の補助金なども合わせると支援が手厚すぎるとの指摘もあり、有事の支援の在り方について検証が求められそうだ。
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持続化給付金は事前審査を行わない代わりに、不正対策として、不正発覚時には20%の加算金と年率3%の延滞金を追加で求める仕組みがあるが、十分な抑止にはつながらなかった。その反省から、持続化給付金に代わる支援策として1月に新設された事業復活支援金では、税理士など第三者が事前に確認する仕組みを導入。中小企業庁の担当者は「今のところ不正は確認されていない」と話す。
一方で、コロナ禍からの経済再開が進む中、いつまで国が支援を続けるのかも課題だ。参院選が迫る中、企業の反発を招く対応は取りにくい。事業復活支援金も、5月31日までの申請期限を6月17日まで延長させた。ただ、東京商工リサーチによると、コロナ前は8千件を超えていた企業の倒産件数は、令和2年が7773件、3年は6030件と減少。手厚い支援で本来なら倒産していた企業が救済された可能性がある。
東京都立大の宮本弘暁教授も「経済をつなぎとめるという点で支援は意義があったが、制度の改善や止め時など検証すべきときに来ている」と話している。(蕎麦谷里志)