自民党の佐藤正久外交部会長は3日の党会合で、今月29、30両日にスペインのマドリードで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に岸田文雄首相が出席すべきだとの考えを示した。「力による現状変更、国際秩序の書き換えは許されないという首相の思いをNATO30カ国の首脳に伝えることは極めて意義が大きい」と強調した。
政府は、首相が26~28日にドイツ南部エルマウで開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)に出席した後、マドリードを訪問する方向で調整している。
今月NATOが採択を目指す「新戦略概念」には、対中政策が初めて盛り込まれる見通し。佐藤氏は会合後、オーストラリアやニュージーランド、韓国の首脳らも呼ばれる可能性が高いとして「アジアと欧州の架け橋を作るというときに日本がいないのは画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く」と記者団に述べた。
首相の出席をめぐっては、7月10日投開票の日程が有力視される参院選の選挙期間と重複するため、政府・与党内には慎重論もあるが、この日の会合に出席した参院選の候補予定者らからは「ぜひ行ってほしい」との声が上がったという。