政府が7日決定する「新しい資本主義」実行計画の工程表で、再就職や能力開発に向けて相談から学び直しまでを継続的に〝伴走支援〟する仕組みを年内に作ると明記することが4日、分かった。雇用の流動性を高め成長産業を活性化する「人への投資」の一環。岸田文雄政権肝煎りの成長戦略を早期に具体化し、参院選を見据え「岸田カラー」をアピールしたい構えだ。
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再就職や能力開発の支援は、今年度から前倒しで実施する。令和6年度までの3年間で、100万人を対象に4千億円規模を投じる方針。今年度は非正規雇用者のキャリアアップ支援や、社会人のリカレント教育(学び直し)、ITといった成長分野に対する就労支援などを予定している。
これと合わせ、社外で職業選択や能力開発に関するキャリアコンサルティングを受けたり、学び直しのプログラムを受講したりして転職まで伴走支援を受けられる仕組みを年内に検討する。岸田政権は成長と分配の双方につながる「人への投資」を重点投資分野の筆頭に位置づけており、貯蓄から投資へ家計を導く「資産所得倍増プラン」も年末までに策定するなど、手厚い支援を行うつもりだ。
一方、デジタル人材の育成では、オンライン講座の整備などを通じて今年度新たに年間25万人の育成体制を確保。5年度からは大学教育や職業訓練などと合わせて年間45万人を育成し、8年度末には現在の約100万人から計約330万人に引き上げる計画を掲げる。マイナンバーカードは今年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指す。
科学技術分野では、年末の5年度税制改正協議で、企業の研究開発投資を促進するため「研究開発減税」の見直しなど税制優遇を検討する。スタートアップ(新興企業)の育成計画も年内にまとめ、9年までに投資を現在の約8千億円から10倍に増やす。
また、脱炭素分野では今後10年で官民合わせて約150兆円の投資が必要だと見込み、GX(グリーン・トランスフォーメーション)投資の活性化に向けた「10年ロードマップ」を年内に策定する方針だ。