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排出量取引市場、本格始動へ 欧州に比べ日本は制度整備に遅れ

企業が二酸化炭素(CO2)の排出量を売買する新たな取引市場の創設に向けた官民の枠組み「グリーントランスフォーメーション(GX)リーグ」が本格的に始動する。経済産業省は10日、GXリーグの発足式を東京都内で開催、リーグ参加企業と連携して9月から東京証券取引所に取引市場を設けて行う実証事業のルールなどを詰め、令和5年度の開始につなげる。先行する欧州に比べ、日本は制度整備が遅れており、脱炭素化の実効性を確保できるかが焦点となる。

GXリーグ参加の狙いや脱炭素化に向けた自社の取り組みについて説明する三菱ケミカルの担当者=10日、東京都港区(永田岳彦撮影)
GXリーグ参加の狙いや脱炭素化に向けた自社の取り組みについて説明する三菱ケミカルの担当者=10日、東京都港区(永田岳彦撮影)

「積極的な投資と排出量削減を両立し、国際的に日本企業の果敢な取り組みを発信したい」。GXリーグの発足式に寄せたビデオメッセージで萩生田光一経産相はこう強調した。参加企業からもGXリーグ加入の意図や脱炭素化の取り組みが報告された。

GXリーグには日本全体の排出量の4割以上を占める440社が参加。排出量の多い大企業製造業だけでなく、金融業や小売業、新興企業など幅広い業種が名を連ねる。日本の脱炭素化を加速させるための切り札として期待も大きい。

参加企業は中長期の脱炭素化実現に向け、各年度の排出量削減目標を設定。目標以上に減らした企業と目標を達成できなかった企業が市場を介して排出量を売買する仕組みを想定する。

現在も削減量を国が認証する「J―クレジット」の制度があるが、取引の価格は相対で決まるなど透明性が低く利用が少ない。4年3月10日時点の登録件数は897件で、件数や規模は欧州に比べて小さいとされる。

実証事業では、まず既存のJ―クレジットを市場で扱い、価格の透明性を高めて取引の活性化を促す仕組みなどを検討する。

先行する欧州連合(EU)が2005年に開設した排出量取引市場では、電力や製造業などの企業に参加を義務付け、排出量の実績に見合った排出枠をそれぞれ割り当てている。排出量が排出枠を上回れば、排出枠が余った企業から購入するか、不足分の罰金を支払う仕組みで、排出量全体の削減につながりやすい。

これに対して、GXリーグへの参加は任意で、目標未達成でも罰則はない。参加企業には令和12(2030)年度にCO2排出量を平成25(2013)年度比46%削減し、令和32(2050)年度の「カーボンニュートラル」を目指す政府方針に準じた目標設定を求めるが、実際の目標水準が甘ければ、排出量取引は盛り上がらず、脱炭素化を促す市場創設の効果が不十分となる懸念もある。

(永田岳彦)


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