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東大卒NHKアナウンサーが53歳で転職してぶち当たった辛い現実…こんなに仕事ができないとは思わなかった

PRESIDENT Online

毎回、なんとかギリギリの線で踏みとどまっていましたが、ある日、カンファレンスの途中で……ついにやってしまいました。会議中に、しっかり眠っちゃったんです。もう、それこそオチるという感じです。押し寄せる睡魔に「これはいけない」と思いつつも、全然、何を言っているかわからないし、気づかぬうちに寝ていました。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Di_Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Di_Studio

当然、会議の後、「なんで、会議中に寝てるんですか!?」とガッツリ怒られて、めちゃくちゃ絞られました。居眠りして怒られるなんて小学生並みです。情けないやら恥ずかしいやら……。

居眠り事件を筆頭に、とにかく怒られることが多くて、自分は新人なのでしょうがないと頭ではわかっていても、それはそれで、結構凹みます。この歳になって、こんなに怒られるなんて思わなかったし、上からも下からも怒られて、やっぱりちょっとしんどかったです。でも僕が至らないことが原因だから、我慢するしかない。すみません、と頭を下げて謝るしかないわけです。本当に凹みましたし……帰宅後の酒が進みました。


50を過ぎて怒られて思うこと

NHK時代は、新人時代を除けば、そんなに怒られることはありませんでした。どちらかというと、番組スタッフから「ありがとうございます。内多さんのおかげです」的なことを言われることがほとんどでした。

もちろん、意見が対立して衝突したこともありますが、それはそれですごく大事なことだと思っています。僕が間違っていたこともあるし、僕の提案で良い方向に改善されたこともありました。それぞれの価値観を戦わせて、いい番組を作っていこうという現場ですから、それは問題ないんです。

でも、いい歳をして、頭ごなしに怒られることはないわけです。ここまで言われるのは、ヘマをして、もう100%自分が悪いとわかった上で、みんなの前で怒られた新人アナウンサー時代以来です。あの頃は20代前半だったので、30年ぶりにそんな羽目になりました。

50を過ぎてバッサリやられた。落ち込みます。やっぱりプライドが傷ついたんでしょうか……自分でも気づかないうちに、妙な自意識がついちゃってたんだと思います。

「転職するから、初心に戻ってがんばります!」と口では言っていましたが、骨の髄までそう思っていたかっていうと、そうでもなかったのかもしれません。やっぱり華やかなところでやっているうちに無意識に優越感が芽生えちゃったのか。そこを、ガツン! と叩き潰されたということです。

別に、元アナウンサーだろうと何だろうと、今の職場では関係ない。当たり前のことですが、厳しい現実を突き付けられた気持ちでした。それはまるで、慣れ親しんだ体質を、全く違うバージョンに切り替えるための儀式のようで、本当に「初心に戻る」には必要なプロセスだったのかもしれません。

こうした日々がなんだかんだ続くうち、たまにですが、体のこれまで痛んだことがないような場所に痛みを感じるようになりました。背中の変なところがズキズキすることがあって、ちょっと怖かった。なんだか得体の知れない痛みでした。幸い、元々頑丈なので、一晩眠ると治りました。

■内多 勝康(うちだ・かつやす)

国立成育医療研究センター「もみじの家」ハウスマネージャー

1963年生まれ。86年東京大学教育学部卒業、NHKにアナウンサーとして入局。大阪局、東京アナウンス室、名古屋局、仙台局などで勤務。「生活ほっとモーニング」「クローズアップ現代」「首都圏ネットワーク」などのキャスターを務める。在職中の2013年に社会福祉士の資格を取得。16年3月にNHKを退職し、「もみじの家」(http://home-from-home.jp/)ハウスマネージャーに。著書に『53歳の新人 NHKアナウンサーだった僕の転職』(新潮社)がある。


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