福井大の調査委員会が調べている学術論文の「査読」を巡る不正に、60代女性教授が関わった疑いがあることが11日、大学関係者への取材で分かった。問題となっているのは、子育て中の母親の脳とホルモンなどの関係を調べた論文で、オランダの学術出版大手エルゼビアが発行する国際学術誌に2020年7月に投稿され、同10月に掲載された。
論文の執筆に関わった研究者の一人は、今年4月に不正の疑いがあることを知らされたという。この研究者は「自分は不正には関わっておらず、論文の内容に問題があるわけではない」と説明している。
福井大によると、2月に「査読者と論文の執筆者がやりとりをしていた疑いがある」との情報提供があり、調査委を立ち上げた。出版社からは、不正が認められたとして、論文の取り下げを通知するメールが届いたという。
査読は、投稿された論文を同じ研究分野の専門家らが評価する仕組み。一般的に査読者は匿名で、投稿者が査読に関わることは不正とされる。