「スペースウォーカー」と広島県呉市が連携協定 水素利用と宇宙産業で協力

    スペースウォーカ―が開発している宇宙航空機のイメージ(同社提供)
    スペースウォーカ―が開発している宇宙航空機のイメージ(同社提供)

    宇宙航空機ベンチャーのスペースウォーカ―(東京都港区)と広島県呉市は13日、水素を使った脱炭素社会の実現を目指す連携協定を結んだ。スペースウォーカ―は水素燃料電池を使ったドローン(無人航空機)用複合材高圧ガスタンクの開発を手掛けており、呉市はその知見を活用する。

    協定では、水素などのクリーンエネルギーの利活用に関する情報を相互に提供するほか、宇宙関連分野のものづくり産業の振興や雇用の創出で協力し合う。

    同日午後4時半からの調印式では、呉市の新原芳明市長やスペースウォーカ―の眞鍋顕秀最高経営責任者(CEO)らが出席。調印文書に署名した。

    スペースウォーカーは燃料タンク製造開発のコムリード(島根県江津市)を昨年7月に吸収合併し、コムリードの複合材タンクなどの研究開発拠点を呉市に移した。

    広島県ではマツダをはじめ自動車関連の製造拠点が集積し、造船所も数多い。燃費性能向上への対応から、各社は車体や船体の軽量化に取り組んでおり、複合材の開発が盛んだ。

    協定書を手にする呉市の新原芳明市長(左)とスペースウォーカ―の眞鍋顕秀最高経営責任者(CEO)=13日、広島県呉市の同市役所(同社提供)
    協定書を手にする呉市の新原芳明市長(左)とスペースウォーカ―の眞鍋顕秀最高経営責任者(CEO)=13日、広島県呉市の同市役所(同社提供)

    宇宙航空機の実現目指すベンチャー

    スペースウォーカ―は平成29年12月に設立。空気力学に詳しい東京理科大学理工学部機械工学科の米本浩一教授による研究成果をベースに、有翼式再使用型宇宙航空機の研究開発を進めている。実現すれば、飛行機に乗るような感覚で自由に宇宙を行き来できるようになるという。

    飛行機の耐用年数は約20~30年で、2万回程度の飛行が可能とされる。一方、現状の宇宙ロケットは使い捨てが基本で、大型のロケットの場合1回の打ち上げ費用が100億円以上もかかる。スペースウォーカ―が開発を進める宇宙航空機は再使用できるので、一度の打ち上げにかかるコストを抑えられる。

    令和6年に実験機の打ち上げ、9年には小型衛星を乗せた科学実験飛行、11年には全長約16m、重さ18.7トンの有人機(乗員2人・乗客6人乗り)を高度120kmまで打ち上げる計画だ。


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