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広がる「言葉の刃」 SNS普及で誰もが加害者、被害者に 侮辱罪厳罰化に期待

侮辱罪の厳罰化を含む改正刑法が13日、国会で成立した。SNS(交流サイト)の活用が広がる中、悪意や勘違い、安易な正義感による「言葉の刃」は、インターネット上で瞬く間に届く。「誰もが加害者にも、被害者にもなり得る」。いわれのないデマを流され、苦しんだ経験を持つ女性は、厳罰化がこうした状況に歯止めをかける契機になることを願っている。(松崎翼)

あおり運転事件にからんで、「ガラケー女」と間違えられ誹謗中傷を受けた女性=東京都内(松崎翼撮影)
あおり運転事件にからんで、「ガラケー女」と間違えられ誹謗中傷を受けた女性=東京都内(松崎翼撮影)

「お前犯人の女か」

会社経営の40代女性が、ある朝、何気なくスマートフォンを手に取ると、こんなメッセージが届いているのに気付いた。

1週間前の令和元年8月、茨城県守谷市の常磐自動車道で、あおり運転をした男が被害者を殴打する事件が起きていた。友人から「大変なことになっている」と連絡が届き、ネット検索すると、犯行の様子を旧式の携帯電話で撮影していた「ガラケー女」だとして、自分の名前と写真がネット上に大量に拡散していた。

あおり運転の犯人の男と面識はまったくなく、事実無根。いたずらだと思い、当初は気に留めなかったが、自身のインスタグラムに、次々とメッセージが届き始めた。

「殺したろか」「生まれたことが間違い」「死ね」「ブス」…。見知らぬ相手からの罵詈(ばり)雑言で、スマホの画面は、あっという間に埋め尽くされた。誹謗(ひぼう)中傷や着信は、2日間だけで340件に上った。

「どれだけ(デマが)広まるのか」。恐怖を感じたが、ぬれぎぬを晴らそうと記者会見を開いた。会見を見たという一部からは謝罪のメッセージが届いたが、「自分もだまされた被害者」などと訴える人も多かったという。

特に悪質な投稿者に対しては個別に損害賠償請求訴訟を起こし、3件で勝訴。賠償額は計約140万円で、準備費用や裁判を起こす労力を考えると、見合った金額とはいえなかった。

「(侮辱罪の厳罰化は)大きな一歩」

女性は、今回の法改正を評価する一方、それだけで誹謗中傷がなくなるとは考えていない。「ある日突然、自分が被害者や加害者になる可能性があることを認識していない人が多い。SNSは車や包丁と同じで、使い方次第で危険なものにもなる可能性がある。正しい使い方を学び、利用してほしい」と、力を込めた。

SNS中傷 厳罰化「やっと」 被害者ら抑制に期待


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