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アマゾンが7年ぶりの赤字に転落…なぜIT大手で「想定外の業績悪化」が次々と起きているのか

PRESIDENT Online

さらにアップルは演算処理能力を高めた次世代チップの“M2”を発表した。それは、デバイスの性能に磨きをかけ、自社のクラウドなどのサービスの利用を増やすことによってエコシステムを拡大するという同社の決意の表れだ。ウェブ3.0の時代を迎える中でアップルがどのようにデバイスとクラウド事業の競争力向上を目指すかは注目に値する。グーグルも広告などの規制強化に対応して収益を伸ばすためにクラウドビジネスの強化を進めている。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/4kodiak
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/4kodiak

米中の対立やウクライナ危機によってサイバー攻撃のリスクが大きく高まったことを踏まえると、安全性の高いクラウドサービス需要は高まるだろう。

■GAFAであっても「想定外の業績悪化」はありえる

今後、GAFAを取り巻く事業環境は一段と急激に変化する。世界全体で物価高騰と景気の後退が同時に進む恐れが増している。特に、ウクライナ危機などをきっかけに世界全体で物価が急騰していることは深刻だ。

その状況下、インフレ退治のために連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は利上げやバランスシート縮小を急がねばならない。金利が上昇し、金融市場は大きく不安定化する恐れが高まっている。GAFAのような有力企業であっても想定外に業績が悪化し、クラウドサービスの強化やメタバースの取り組みが一時的に鈍化する展開は排除できない。

そうした懸念が高まる状況下、各社はコスト削減を強化しつつ、新しい取り組みを進め始めた。メタはマイクロソフトとクラウド分野での戦略的な提携を強化し、関連する分野でのビジネスチャンスをより多く獲得しようとしている。アマゾンやグーグルもコストの削減を進めつつ、クラウド関連分野の事業運営体制を強化している。アップルは既存デバイスと自動車の新しい結合を実現するために自動車用アプリケーション“CarPlay”の開発も強化している。

■守りを固めつつ、成長期待の高い分野を伸ばせるか

やや長めの目線で考えると、世界経済全体でデジタル技術の実用化に向けた取り組みは増えるだろう。自動車の電動化は加速し、自動運転技術の研究開発と実用化をめぐる競争が熾烈化する。メタバース関連の事業機会に加えて、世界の企業のサプライチェーン再編も加速する。各国の企業が中国からインド、ASEAN地域などに生産拠点をシフトし始めた。

サプライチェーンの様相が大きく変化する中で、企業が発注した品物がどこにあり、いつ最終目的地に到着するかを効率的に把握するシステム開発は急務だ。いずれもクラウド需要を押し上げる要因になるだろう。

GAFA各社は守りを固めつつも、クラウドなどより成長期待の高い分野での取り組みを加速しなければならない。各社のトップに求められるのは、あきらめずに変化に対応し、新しいビジネスモデルを迅速に確立することだ。それが実行できるか否かが、各社の中長期的な成長に決定的なインパクトを与えるだろう。

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真壁 昭夫(まかべ・あきお)

多摩大学特別招聘教授

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学院教授などを経て、2022年から現職。<br>

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(多摩大学特別招聘教授 真壁 昭夫)


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