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SNS中傷 厳罰化「やっと」 被害者ら抑制に期待

誹謗(ひぼう)中傷を取り締まる侮辱罪の罰則を強化する改正刑法が13日、成立した。交流サイト(SNS)の匿名の誹謗中傷が原因で、命が奪われる事態にまでなったことを機に議論が加速。実際に被害に遭った当事者らは「私たち一人一人のモラルが問われている」と記者会見で訴え、〝言葉の刃〟の抑制に期待を寄せた。(村嶋和樹)

侮辱罪の厳罰化などを含む改正刑法の成立を受けて、会見した木村花さんの母、響子さん(右から3人目)、松永拓也さん(同2人目)、スマイリーキクチさん(右端)=13日午後、東京都千代田区(関勝行撮影)
侮辱罪の厳罰化などを含む改正刑法の成立を受けて、会見した木村花さんの母、響子さん(右から3人目)、松永拓也さん(同2人目)、スマイリーキクチさん(右端)=13日午後、東京都千代田区(関勝行撮影)

「(厳罰化は)やっとだという思いが強い」。令和2年5月にSNS上で中傷された後に自ら命を絶った女子プロレスラー、木村花さん=当時(22)=の母、響子さん(45)はこの日、花さんの顔写真が印刷されたTシャツを着て会見に臨んだ。

出演していたテレビ番組での言動に対する中傷を受けて花さんが亡くなってから2年。響子さんは、花さんを追い詰めた中傷と戦い続けてきた。「いつも一緒に戦ってきた感覚だった」と振り返る。

《生きてる価値あるのかね》《いつ死ぬの》

匿名のSNSで次々に寄せられた心ない言葉。響子さんはその一つ一つに目を通し、刑事や民事で訴えるための証拠として集めてきた。

「被害届を出せば、攻撃的な人にも立ち止まって考えてもらえる」。そんな思いからだったが、花さんへの侮辱罪で略式起訴された男2人に下った略式命令は、科料9千円だった。

民事でも損害賠償を求めて訴え、裁判所は別の投稿者に約130万円の支払いを命じたが、投稿者は一度も法廷に顔を出さず、支払わないまま。その後も誹謗中傷はやまず、「全然抑止力にならず、理不尽だ」と痛感した。

響子さんは投稿自体の削除も求めてきたが、投稿者の特定を求める請求を何度もする必要があるなど、負担は重い。「今は被害者に全部のしわ寄せがきている。(投稿を削除しない)事業者側にも罰則が必要だ」と、さらなる法整備の必要性を訴えた。

侮辱罪の罰則の軽さに疑問を感じていたのは、平成31年4月に東京・池袋で起きた暴走事故で妻の真菜(まな)さん=同(31)=と長女の莉子(りこ)ちゃん=同(3)=を失った松永拓也さん(35)も同様だ。

会見で事故の悲惨さを訴えた松永さんには「(活動は)金目当て」などとするSNSの投稿が相次いだ。今年4月には投稿した20代の男が侮辱容疑で書類送検されたが、「被害者は大変な心痛と労力を強いられているのに、軽犯罪で終わってしまう」と語り、「(今回の改正は)厳罰化ではなく、ネット社会に即した適正化だ」と評した。

一方で、「殺人事件に関与した」などと事実無根のデマを大量に投稿されたお笑い芸人、スマイリーキクチさん(50)は「中傷している人は心を病んで依存症になっており、加害者が相談できる窓口が必要だ」と指摘。自身への殺害予告について、最初に行われてから現在まで20年以上、断続的に続いていることを明かし、「モラルを学ばなければ、誰もが加害者になってしまう」と教育の重要性を強調した。

侮辱罪厳罰化 海外事業者への削除要請強化


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