日本市場で大成功 スターバックスの「世界観」というビジネスモデル

    みんなスターバックスが大好きです。

    ギリシャ神話セイレーンをモチーフにしたロゴなどヒューマンタッチな世界観(写真筆者)
    ギリシャ神話セイレーンをモチーフにしたロゴなどヒューマンタッチな世界観(写真筆者)

    仕事仲間と出先で打ち合わせ方々お茶でも飲もうかとするとき、スターバックスでなく某々日系コーヒーチェーン店を選ぼうとしようものなら途端に空気感が怪しくなります。若手メンバーが多いときなどなおさらです。

    仕事仲間のみならず、妻子であればさらにあからさまな反応を示しますので、世論調査をするまでもなくスターバックスへの支持の堅固さというものは疑うべくもないでしょう。当然、日本国内の喫茶業態シェア当然不動のナンバーワンです。

    みんなが好きなものについて“とやかく”言うと嫌われるのが世の常ですから、触らぬ神にしておいた方がよろしいかもしれませんが、元々の天邪鬼な性分と、他の誰かの仕掛けに丸々乗りたくないという一応プロとしての矜持(嫉妬?)から、どうしても斜めに見てみたくなるから我ながら困ったものではあります。

    コーヒーはいつも裏切らない

    それにしても珈琲というやつは素晴らしいですね。

    お酒以外で、昼日中、会議中であってさえもあの満足感、楽しさのインパクトをもたらしてくれるものはそうありません。

    それゆえ昭和の時代だって日本の喫茶文化は大いに栄えていたじゃないかと、振り返ってみたくもなります。繁華街の純喫茶は何が純だったのか分からなかったけれどそこかしこにお店があったように思います。学生街の喫茶店に思い出がある人も多いでしょうし、そう言えばジャズ喫茶なんて通なものもありました。

    我々のちょっと上の先輩たちは、「朝、出社するとモーニングをつまみながら喫茶店で打合せを毎日したもんだよなぁ」などと良くおっしゃっていましたが、どこの世界の話だよと今となっては共感の“よすが”さえないように思います。

    それにしても何より日本の喫茶文化において特筆されるべきは、究極の一杯を引き出すことに命をかける“求道系“の存在です。現在の世界的“サードウェーブ”コーヒームーブメントにも大きな影響を与えた先駆者として、日本が誇る文化遺産とさえ感じる存在です。

    さらには各地方にその地方地域に根差したコーヒー文化があるのが、いかに日本であまねく受け入れられてきたかの証であるように思います。

    昭和の喫茶店はタバコとともに終了

    外国からわざわざ何かを輸入しなくても、十分充実したものがある市場だったような気がしますが、発祥の地シアトルの北米以外で真っ先にスターバックスを受け入れたのが我が日本市場であり、その後の世界的展開の嚆矢となったのですから分からないものです。振り返れば1996年(1992年成田空港短期間の出店を別とすれば)、北米以外で初出店だったという銀座一号店が出店して以来、あれよあれよと全国展開、あっという間に席捲して今や日本全国1740店とのこと。(スターバックスホームページから)

    同じく東京銀座の日本一号店から全国展開した例で言えば、マクドナルドにも重なります。2015年には、日本最後のスターバックス空白県鳥出店で文字通りの全国制覇とのことでした。

    喫茶店市場自体は長期低迷から2010年頃以降微増程度に推移してきたようです。大きな潮流とすれば昭和の喫茶店が業界1位のスターバックス、業界2位のドトールコーヒーなどに置き換わっていった推移だとわかります。(https://b.hne.jp/2020/05/trends-in-the-domestic-cafe-industry-1/)

    確かにコーヒー豆の消費量自体は概ね近年増加傾向ですが、コンビニコーヒーなどの人気も考えれば当たり前に市場のパイが拡大したとは言えないように思います。(https://coffee.ajca.or.jp/pdf/data-jukyu202204.pdf)

    競争の過程で、零細な家族経営が多く、経営者がお店とともに高齢化した感を如実に感じる“昭和の喫茶店“は人知れず姿を消していったということでしょう。喫煙ポリシーの違いも大きくそんな入れ替わり戦に影響したことは間違いありません。

    喫茶店イコール煙草を存分に吸える場所という認識は根深かったわけで、年々吸う人と吸わない人の生活動線の分離が進む中で、最終局面では一部の喫煙可能な喫茶店が魔窟のごとき喫煙者率で“もうもう”としていたのも今となっては良い思い出です。もちろん、そんな状態では老若男女が一致して利用するお店になり得ないのは当たり前の成り行きだったと思います。


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