「嫌がらせ」「雇い止め」…更年期不調で離職の実態

    日本女子大の周燕飛教授(労働経済学)は、過去3年間に更年期症状が原因で離職を経験した女性は約46万人、男性は約11万人に上ると試算。それによる経済損失は年間約6300億円と推計されるという。

    周氏は「更年期とキャリアアップの時期が重なる人も多く、そこで離職を余儀なくされることは本人、企業双方にとって大きな損失となり得る。女性活躍の視点からみても、社会にとってマイナスだ」と語る。

    厚労省は今年度から、更年期の不調が生活や仕事に与える影響などを調査し、支援策を検討する方針だ。

    周氏は「更年期障害は誰にでも起こりうる。助け合いの精神が非常に重要だ」と指摘。「一人一人が更年期に関する正しい知識を持つことから始め、国や企業などは個人の体調や症状に合わせて柔軟な働き方のできる環境づくりを進める必要がある」と話している。

    更年期障害とは

    女性の場合、閉経前後の45~55歳ごろが「更年期」にあたる。加齢による卵巣機能の低下で女性ホルモンの分泌が減り、さまざまな心身の不調が引き起こされる。主な症状は、ほてり、発汗、動悸、頭痛、めまい、気分の落ち込みなど。日常生活に支障が出ると「更年期障害」と呼ぶ。男性に起きることもある。

    症状は多様で個人差がある。女性からの電話相談に応じる「女性の健康とメノポーズ協会」(東京)によると、更年期症状と気付かず、不調を我慢してやり過ごそうとしたり、思い通りに活動できないストレスを抱え込んだりして状態の悪化を招くケースもある。

    三羽良枝理事長は「婦人科の専門医を受診し、更年期医療を受けることも大切」と説明。治療には女性ホルモンを薬で補う「ホルモン補充療法」や漢方療法などがあるという。

    「自分にあった治療を受け、生活習慣も見直すことなどで症状の改善が期待できる。一人で悩まず、相談してもらいたい」。三羽氏はそう呼び掛けている。(三宅陽子)


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