18億個もの星を俯瞰する宇宙望遠鏡「ガイア」 最新データと、「動く星」の3Dマップが示す真理とは?

ESA(欧州宇宙機関)が6月13日、宇宙望遠鏡「ガイア」が取得した最新データを世界に向けて公開した。私たちが所属する天の川銀河には無数の星々が集積しているが、その位置と動きを正確に読み取り、3Dマップ化することがガイアの使命だ。打ち上げから9年間でガイアは、なんと18億個の天体をカタログ化している。今回公表されたガイアのデータから、何が解明されようとしているのか? 160万年におよぶ「動く3Dマップ」とともに、最新情報をご紹介したい。


天の川銀河を3Dマッピング化、160万年を20秒間の動画で描く

2020年に公開された天の川銀河の三次元地図データ(ESA / Gaia / DPAC)
2020年に公開された天の川銀河の三次元地図データ(ESA / Gaia / DPAC)

まずはこの画像を見ていただきたい。これはESAの宇宙望遠鏡「ガイア」が撮影した全天マップだ。

全天とは文字通り、地球から全方向に広がる宇宙のこと。丸い地球全体を平面地図にすると楕円形になるが、これはその宇宙版といえる。地球にいる我々から見えるすべての天、つまり全宇宙が、この一枚の画像に収められている。

中央から左右に延びる明るい領域は、天の川銀河だ。天の川銀河は、薄いディスク状の形をしている。私たちがいる太陽系は、その「郊外」にある。そこから天の川銀河の中心を眺めると、このような眺めになる。

線のように見えるのは、星々が描いた軌跡だ。この画像には、太陽から326光年(100パーセク)の距離内にある4万個の星々が映されている。それらの星をスキャンしたガイアの画像は静止画ではなく、コマ送りの3D動画だ。2013年に打ち上げられたガイアが、それらの星を7年間かけてスキャンしている間に、星々の位置は微妙に変化する。そのわずかな軌跡の変化を計算によって40万年後まで延長すると、このような画になるのだ。

次に紹介するアニメーションは、その尺を160万年後まで延ばし、20秒間に凝縮したシミュレーション動画だ。もし私たちが宇宙空間にポツンと漂い、天の川銀河の中心を160万年眺め続けたら、このような景色を観ることができるはずだ。

【天文衛星ガイアのスタートレイル】


CCDカメラを106台搭載、画素数は900万ピクセル

打ち上げ前の最終調整が行われるガイア。太陽光から望遠鏡を守るサンシールドが完全に開くと、ハットのような形状になる。推進剤込みの質量は2,030kg(ESA / M.Pedoussaut)

ガイア本体の直径は4.3m、高さ2.3m。太陽光パネルを兼ねたサンシールドが完全に展開すると、その直径は10m強となる。

ガイアは106台のCCDカメラを搭載しているが、その画素数はなんと900万ピクセル。ヒトの肉眼よりも約100万倍暗い天体を検出することが可能だ。この観測装置よって近紫外線から可視光線、さらに近赤外線までをカバー(330〜1050nm)する。

太陽と地球のラグランジュ点L2に投入されたガイアは、その領域で円を描きながら、地球とともに太陽を公転する(ESA / Gaia / DPAC)

ガイアは地球から150万km離れたラグランジュ点L2という特殊な軌道に投入されている。地球に対して太陽とは反対側にあるこの領域に配置された機体は、太陽と地球の重力の影響を受けつつ、公転する地球の重力にも引かれ、地球とともに太陽を公転する。その際、地球から離れる方向に遠心力が働くため、ガイアはずっとその位置関係を保つのだ。


観測しているのは、星の動きだけではない

今回、ESAが公表したガイアのデータは多岐にわたる。以下にそれらデータの一部とこれまで判明した事実をご紹介したい。

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