会場で注意深くチェックしたアイテムがある。セラミック製品だ。
花瓶などの置物の動向をフォローした。
セラミック製品だけを扱っている企業のブースはもとより、ソファーなどのデザイン家具を展示しているブースにも、セラミック製品がアクセサリーとして使われている。
というのも、前述のようにどの分野でも自然素材への希求が強い。一方、アーティストの間でも、セラミックを作品に使いたいとの意向が増している。更に、クラフトの価値観や表現が再評価されている。
したがって、クラフト、デザイン、アートの文脈の交差がセラミック製品を通じて見えてくる。そして、その交差点を上手く動き回るロジックに長けているのがラグジュアリー領域である(この点については、服飾史研究家の中野香織さんとの共著『新・ラグジュアリー 文化を生み出す経済 10の講義』に書いた)。
これまでサローネでライフスタイルのトレンドが分かるとされてきた。しかし、サステナビリティを鍵にさまざまな領域が重なってきている現在、ライフスタイル以上のことが分かる存在になりつつある。
「以上」とは何なのか?個人がどのような関心領域を持っていようと、その関心に応えてくれる場である、という意味だ。