【ソウル=時吉達也】2019年の「日本製品不買運動」に伴い、日本産ビールの販売が激減した韓国で17日、アサヒビールの広告キャンペーンが始まった。不買運動以降、日本産ビールの大規模な広告活動が展開されるのは初めて。5月の政権交代に伴う対日関係改善の動きも影響しているとみられる。
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韓国では、19年7月に実施された日本の対韓国輸出管理の厳格化措置が、いわゆる「徴用工訴訟」判決への報復措置と受け止められ、日本製品の不買運動が広がった。日本ビールの輸入額は18年の7830万ドル(約105億円)から、20年には566万ドルまで急減。輸入ビールに占めるシェアは1位から、昨年は9位まで転落した。
今回の広告は8月末までSNS(交流サイト)などを通じて展開されるといい、シェア奪還に向け巻き返しを図る構えだ。
ただ、日本ビールの輸出減が9割を超える中、業界では「かつてのシェアを回復することはない」との見方が大勢だ。韓国では不買運動を経て、国産クラフトビール市場が急成長。韓国クラフトビール協会によると、17年に430億ウォン(約44億円)だった市場規模が23年には3700億ウォン台に達する見通しという。
ビールと対照的なのが、日本産ウイスキーだ。韓国では新型コロナウイルス禍で、ウイスキーを炭酸で割るハイボールの「宅飲み」が流行。今年1~3月の輸入額は、123万9千ドルを記録し、2年前の約3倍となった。国内醸造は緒に就いたばかりで、当面は日本製人気が続く見通し。
不買運動に詳しい韓国の大学教授は「韓国の消費者はゴルフや釣りの道具などを含め、国内製と品質に差がある分野では日本製品を購入することに躊躇(ちゅうちょ)しない」と指摘する。