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データで医療・製薬業界を支えるコンサルティング EY Japan、専門チームを拡充へ

新型コロナウイルスのワクチン開発の出遅れや増大する医療費の問題を受けて、日本の医療業界があらためて注目を集めている。医療と製薬業界に特化したコンサルタントでEY ストラテジー・アンド・コンサルティング(東京都千代田区)の医薬・医療セクターパートナーである松本崇志氏は、患者の遺伝子データや電子カルテなどのビッグデータを集積して活用する「ライフサイエンス4.0」を提唱して課題解決に努めているが、人材が足りていないと語る。フジテレビ・清水俊宏氏が松本氏と対談を行い「業界特化型コンサルタント」の現状に迫った。

製薬企業のデータ利活用を支援

厚生労働省は昨年公表した「医薬品産業ビジョン2021」で、日本が「世界有数の創薬先進国」として国民の健康と経済成長に寄与していくという方針を明らかにしている。しかし同省が2018年にまとめた資料によると、医薬品の開発には10年以上の時間と数百億~数千億円規模の費用が必要になる一方で、成功する確率は約2万5000分の1だという。

患者数が少なく、治療薬の開発が進みにくいアンメットメディカルニーズ(十分に満たされていない医療ニーズ)の課題もある。創薬は年々難しさを増しているが、松本氏は「われわれは、こうした課題に製薬企業が効率的に取り組めるように、AI(人工知能)やデータテクノロジーを活用するなどしてサポートできると考えています」と 話し、製薬企業が持っていないさまざまデータを組み合わせることが鍵を握っているとの考えを示した。

例えば、カルテをデジタル化した電子カルテのデータを集めて分析することができれば、病気の治療や予防に役立つ知見が得られるかもしれない。だが、電子カルテのフォーマットが病院ごとにばらばらだと効率的に分析することが難しくなる。そこで、コンサルタントが集積したデータを上手に活用できるようにするための仕組みづくりに協力するというわけだ。

また、腕時計型のウェアラブル端末から取得したライフログ(生活の記録)や遺伝子情報といったデータを扱うことも考えられる。こうした場合には患者の個人情報保護を意識する必要があるので、コンサルタントがガバナンスの整備を支援する役割を果たすこともあるという。

松本氏によると同社が提唱する「ライフサイエンス4.0」とは、良い薬を作り、患者ごとに個別化した治療ができるようになった先にある概念で、蓄積したデータを診断や予防などの薬以外のビジネスモデルで生かして患者のQOL(クオリティーオブライフ)を向上させることを目指している。そのためには独自のテクノロジーを持つ企業やスタートアップとコラボレーションしてエコシステムを形成することもある。

清水氏が「業界特化型と呼ばれるくらいの専門性がないとエコシステムの実現は難しいのではないでしょうか」と指摘すると、松本氏は「おっしゃる通り、お客様にフォーカスして考えると業界に特化することは必要です。私も15年以上続けていますが、業界の変化についていき、新しく求められるものにチャレンジして成果を上げるためには一つのことを突き詰めて考えなければいけません」と述べた。

コンサルタントのやりがいは

医療・製薬に特化したコンサルティングができる程の専門家であれば、自ら起業したり製薬企業に入ったりして、事業の主体となって活動するという選択肢もあるのではないか。清水氏が疑問を投げかけると松本氏は「実際、スタートアップ企業などの『お客様側』に転職するコンサルタントもいるのです」と明かした。その上で「私はお客様に感謝されたり、良いものが出来上がったりしたときに満足するタイプ。製薬企業に転職するのも良いことだと思いますが、業界全体を見て、さまざまお客様にご提案とご支援ができるのはコンサルタントの良さです。バラエティに富んだ仕事には知的好奇心とやりがいを感じます」と話した。

実は、松本氏自身も製薬企業などへの転職を考えたことがあったそうだが、「第三者だからできる仕事の面白さが勝ったのでコンサルタントを続けています」と笑顔を浮かべていた。今後はライフサイエンス4.0の実現と、コストを抑えて日本の高い医療レベルを維持する仕組みづくりに取り組んでいきたいとしている。

その一方で、近年はコンサルタントへの期待値が高まり、これまで以上に勉強と情報収集をすることが求められるのが難しいところだという。しかも立場によっては「矜持を持ったメンバーたちの意見を束ねて価値を出していく ことが求められることもあります」(松本氏)。期待される以上の成果を出して、業界の変革をサポートするのは、やはり並大抵のことではないようだ。

未経験者の育成も

EY Japanのライフサイエンスのチームは顧客が抱えている課題に応じて、別の業界に特化したコンサルタントや会計・SCM・人事・リスク・テクノロジーなどの個別の業務の専門家と有機的につながる。全体では数百人がプロジェクトに関与している が、スタッフが足りているとは言えず、現在も人材を募集しているところだ。

他のコンサルティングファームで働いたことがある松本氏は、EY Japanの特徴はコラボレーションのしやすさにあると語る。「大きく分けるとコンサルティングと監査法人、税理士法人、M&Aなどを手掛けるSaT(ストラテジー・アンド・トランザクション)の合計4つのサービスラインがあります。横断的にお客様をサポートする体制になっているのです」。世界規模のネットワークを持つ強みを生かし、製薬企業が現地法人をおく国のスタッフと連携することで医薬品の物流の問題解決にあたることもあった。

さらに、上位職階の「カウンセラー」との対話を通じてキャリア支援をする制度にも力を入れていて、コンサルタント未経験の人を受け入れて育成する体制が整っている。松本氏は「個人でできることには限界がありますが、さまざまバックグラウンドを持つ仲間が増えることで生まれるものがあるのではないでしょうか」と可能性の広がりに期待を込めた。

※本インタビューの関連記事はFNNプライムオンラインでもご覧いただけます。

(提供:EY Japan株式会社)


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