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ロシアの侵略で物価高騰 各国市民の不満政権・与党に

ロシアのウクライナ侵略に伴う世界的な食糧やエネルギーの高騰で、市民の不満が各国の政権与党に向かっている。5月のオーストラリア総選挙ではモリソン前首相の与党保守連合が敗れ、今月の仏下院選はマクロン大統領の中道与党連合が苦戦を強いられている。7月は日本の参院選、11月は米国の中間選挙が控え、ロシアの軍事侵略は民主国家の選挙で政権与党に微妙な影響を与えている。

ロシアのウクライナ侵攻で食用油や小麦粉が不足するスーパーの売り場=19日、ドイツ・ベルリン(アナトリア通信提供・ゲッティ=共同)
ロシアのウクライナ侵攻で食用油や小麦粉が不足するスーパーの売り場=19日、ドイツ・ベルリン(アナトリア通信提供・ゲッティ=共同)

経済協力開発機構(OECD)は今月8日、2022年の加盟38カ国のインフレ率が8・5%になるとの見通しを発表した。ウクライナ侵略がガソリンや食料の高騰を招き、昨年12月時点の予測値を約2倍に引き上げた。こうした物価高は庶民の生活を直撃し政権与党への不満となっている。

5月21日に投開票された豪総選挙は物価問題が争点となり、モリソン氏の与党保守連合が敗れ、9年ぶりの政権交代となった。足元のインフレ率5・1%に対し、賃金上昇率はわずか2・4%にとどまる。野党労働党を率いたアルバニージー氏(現首相)は「何もかも値上がりする一方で、賃金は上がらない」などと与党を批判。最低賃金引き上げを掲げ勝利した。

ドイツではショルツ首相の中道左派、社会民主党(SPD)が5月に北部シュレスウィヒ・ホルシュタイン州と西部ノルトライン・ウェストファーレン州の州議会選で大敗した。人口約1800万人を擁する同州は、有権者数が国全体の約20%を占め、国政での世論の指標ともなる。同国の物価上昇は歴史的な高水準で、有権者が国政を担うSPDに地方選で不満を示した形だ。

フランスで行われている下院選は、マクロン氏の中道与党連合が苦境にある。同氏は先月の内閣改造で、コロナ禍の経済対策を仕切ったルメール経済・財務相を留任させ物価対策を強化してきたが、今月12日の第1回投票で富裕層増税や最低賃金引き上げを訴えた左派連合が躍進した。中道与党連合は第1勢力を維持するものの、大幅に議席を減らすとみられている。

来月10日の日本の参院選も物価高が争点の一つになる見込みだ。今月16日の民放番組で岸田文雄首相は「対策が具体的に求められる」と述べ、エネルギーや食品の価格抑制で対策を拡充する考えを強調した。

約40年ぶりとなる物価高に見舞われる米国は、バイデン大統領が「プーチン(露大統領)のせいだ」と繰り返し、自身の失策でないとアピールして対策に取り組んでいる。市民の不満を解消できなければ、11月の中間選挙で自身を支える民主党が「議会で多数派を失って政権運営が一気に難しくなる」と米政府筋は懸念する。(坂本一之)


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