• 日経平均27968.99-58.85
  • ドル円138.35138.37

なぜ日本だけがコロナ鎖国を続けているのか…それは「世界一の老人大国」で変化を嫌うからだ

PRESIDENT Online

■同じ店ばかりに行くようになったら要注意

その傾向は、日常の行動にも表れ、たとえば若い頃はいろいろな飲食店を食べ歩いていた人が、行きつけの店でしか食事をしなくなります。

あるいは、若い頃は、いろいろな作家の小説を読んでいた人が、同じ作家の本ばかりを読むようになります。雑誌にしても、いろいろな種類の雑誌を買っていた人が、『文藝春秋』や『週刊ダイヤモンド』あたりを定期講読して、同じ雑誌ばかりに目を通すようになります。

ただし、これらの行動は、知的能力の減退を意味するわけではありません。知能指数が落ちているわけではないのです。『文藝春秋』や『週刊ダイヤモンド』を読み、理解する力は落ちていないのですが、他の雑誌に興味を示さなくなるのです。

そうした傾向全体を私は「前例踏襲思考」と呼んでいます。前頭葉の萎縮によって、変化を好まなくなる。その結果、「前例踏襲をよしと考える」傾向です。

■政治やコロナ対策に表れる前例踏襲思考

話が飛ぶようですが、私は、前例踏襲思考は近年の「投票行動」にも表れていると思います。

安倍晋三政権は、森友学園問題や桜を見る会問題など、スキャンダル続きの政権でしたが、結果的に史上最長の政権となりました。このことにも、私は、国民全体の前例踏襲思考が表れていると思います。変化を好まない人が増えた結果、何があっても安倍政権に票を入れ続ける人が多数派を形成し、政権が継続し続けることになったのです。

私は、コロナ禍を起因とする「自粛禍」の悪影響によって、日本人の脳はさまざまな方向に劣化したと思いますが、そのいわば「自粛禍脳」の素地として、超高齢化による国民全体の前頭葉の萎縮傾向があったわけです。コロナウイルスはその背中を押し、進行スピードをアップさせたのです。

そのコロナ禍脳の一症状である「前例踏襲思考」は、個人だけでなく“組織的”にも進行します。たとえば、政府のコロナ禍対策には、その傾向がはっきり表れています。

目下、日本を除く先進各国は、国民の行動制限を解いて、新型コロナ流行以前の「自由な日常」に戻す方向に動いています。ところが、日本では依然、「自粛要請」一点張りの政策が続いています。

ここで、「自粛要請」とは、具体的には何なのか――その中身を見てみましょう。

例にとるのは、2022年初め、第6波時に東京都が行った「要請」です。

令和4年2月10日付けの「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」によると、都民向けには、

・不要不急の外出は自粛し、混雑している場所や時間を避けて行動すること

・営業時間の変更を要請した時間以降、飲食店等にみだりに出入りしないこと

・不要不急の都道府県間の移動は、自粛すること

などが求められました。回りくどい文章ですが、要するに「街に出るな」「繁華街に行くな」「遅くまで飲むな」「旅行はするな」という意味です。

すでに、中国の武漢(ぶかん)で新型コロナウイルスが発見されて以来、約2年半にわたって、日本では、「三年一日」の如く、このような自粛策が繰り返されてきました。コロナウイルスは変異し続けているのですが、その対策は前例が踏襲され、変化しないのです。


Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)