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なぜ日本だけがコロナ鎖国を続けているのか…それは「世界一の老人大国」で変化を嫌うからだ

PRESIDENT Online

■過剰な自粛は人命を奪う

私は今、まん延防止等重点措置などによる「自粛策」は、明らかに過剰で、不適切な政策だと思っています。

そして現在、そうした自粛策は「万病の元」であり、「自粛禍」は、新型コロナへの感染以上に「人の命を奪っている」とさえ思っています。

その理由をお話ししましょう。

私たちは、自粛生活のなか、多くの「自由」を失っています。友人・知人と自由に食事することすらはばかられ、そもそも彼らとの会話さえ不自由です。外で自由に運動することにも気がひけて、買い物も不自由です。子供を外で自由に遊ばせることができないし、実家に自由に帰省することもできず、老親にもなかなか会えません。コンサートや映画、スポーツ観戦に出かけることにも、制限がかけられることが多くなっています。

というように、自粛は、私たちから何事も自由だったコロナ禍以前の日常を奪い取っています。そのことが、人命を奪うことにつながるのです。

その犠牲となる人の多くは、高齢者です。

高齢者は外出を控え、自宅に数カ月引きこもるだけで、歩行機能が弱まり、自立歩行さえおぼつかなくなります。また、人と話さない暮らしが続くと、認知機能が衰えます。

そのような足腰、認知機能が衰える症状を「フレイル」と呼びます。フレイルは「虚弱」という意味で、正常と要介護の間のような状態を指します。いったん、フレイルに陥っても、適度に運動したりすれば、元の状態に戻ることができるのですが、自粛生活のなかでは、それもままなりません。

外出しないことで、運動不足になり、筋力が衰えて転倒、骨折、要介護状態になったという人を、私はこの2年余りの間、多数見聞きしてきました。高齢者の自粛生活は、要介護状態への最短ルートとなるのです。

また、自粛生活のなか、買い物がしにくいと、栄養バランスのとれた食事をとりにくくなります。そして、糖尿病などの持病を悪化させている人が少なくありません。これも、要介護を増やすことにつながります。

■介護費用は4兆円増加する

今、日本の要介護高齢者は、要支援を含めて約700万人です。私は、自粛生活が続けば、今後数年のうちに、さらに200万人は増加することになると思います。すると、介護費用は年間4兆円増えます。むろん、死者も急増します。

しかし、テレビを含めたメディアは、そうした自粛禍について、まったくといっていいほど、報じません。今、テレビに専門家として出演するのは、感染症の専門家ばかりです。彼らは「外出を避け、ワクチンを接種しろ」とはいっても、フレイルや要介護予防については何も語りません。いや、その分野は専門外で知識がないので、語ることができないのです。そうして、自粛禍の深刻な「副作用」について、国民はほとんど知らされることがないまま、2年以上の日々が経過したのです。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)

精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授

1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、国立水戸病院神経内科および救命救急センターレジデント、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院・浴風会病院の精神科医師を経て、現在、国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、川崎幸病院顧問、一橋大学・東京医科歯科大学非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長。


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