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食料安保も後押し 一次産業系ベンチャーが日本の“インフラ”を支える

デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「MorningPitch(モーニングピッチ)」というイベントを東京・大手町で開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげることを狙いとしています。

モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回は一次産業です。

就業者数は半世紀で4分の1の水準に

農業と水産業、林業で構成される日本の一次産業は、人手不足が深刻化しており、就業者の数はこの半世紀で4分の1の水準にまで減少しました。食料自給率も60%台から40%台まで低下しています。こうした環境下で、いかにイノベーションを起こしていけるかが一次産業の課題となっています。

これまではテクノロジーの活用が遅れていましたが、近年は生産性や品質の向上を目的に、さまざまな分野でテックやバイオ技術の活用が進んでいます。

農業では自動運転農機や農薬ロボット、収穫センサーなど人手不足に対応した機器を導入しているほか、人工衛星で撮影された水田の画像に基づいた、おいしいお米づくりも行われています。酪農・畜産や水産業では、生育確認・予測や餌を与えるといった工程では、最新技術が活躍しています。また、農業、酪農・畜産、水産業ともに流通と消費・廃棄物処理という段階で、トレーサビリティー(生産履歴の追跡)やアップサイクル(価値の高いものに再利用)関連のシステムが活用されています。

豚を健康に育てる条件をAIで自動的に管理

スタートアップ企業が独自のテック・バイオ技術を糧に、大手企業などと協業するケースも顕在化しています。

衛星画像データなどを使った農業支援を手掛けるサグリは、インドの農業関連サービス大手と事業提携し、衛星データから解析した土壌や天候などの営農情報を用いて、農業指導者向けのアプリケーションを展開しています。また、野菜などの収穫量を予測し、農家の与信情報に役立てる事業も行っています。

養豚農家のデジタル化を支援するEco-Pork(エコポーク)は、ICT(情報通信技術)による情報の可視化ツールを提供しています。豚の育成データを収集し、健康に育てる条件や環境などをAIが自動的に管理し、生産性を向上させるのがねらいです。すでに10社を超える企業との間で販売パートナー契約を締結しています。AquaFusion(アクアフュージョン)はNTTドコモと提携し、魚の新たな養殖管理モデルの確立を目指しています。

社会的責任への対応が加速

一次産業そのものの改革が求められる一方で、環境保全など社会的責任への対応といった取り組みが、さらに加速していくと考えられます。

脱炭素に関しては、一次産業のサプライチェーンを通じた温室効果ガスの排出量削減やバイオマス資源の活用などが、より重要になるでしょう。海洋保全の領域では天然の水産資源と海洋の生態系保全に向け、漁獲量や養殖環境の適正化などが求められます。サステナビリティについては、アップサイクルの技術革新を背景に、廃棄物の削減や活用が進む見通しです。また、地域ブランド品の開発や都市との連携が後押しし、地方再生につながることも期待できます。

インドでは農業廃棄物が、産業の一翼を担っています。麻、バナナなどの廃棄物を農家から購入し繊維や糸にして有毒化学薬品を用いずに繊維を生産、アパレルなどの事業者と協業し、販売することで、農家に対して副収入の機会を提供しています。

こうした動きを裏付けるように、世界のアグリ・フード分野への投資は大幅に増えています。今回は農業を中心に5社を紹介します。


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