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世界有数の宇宙飛行士でも、給与は普通の職員と同じ…野口聡一さんのJAXA退職が示す「日本方式の限界」

PRESIDENT Online

■過去にはアルコール依存、暴行事件も

こうした仕事や生活なので、当然ストレスもたまる。1期生の毛利衛さんは、自身の著書『毛利衛、ふわっと宇宙へ』で、

「一挙一動は常にマスコミに報道されているから、下手なことを言って周囲の人に迷惑をかけてもいけない」「顔をのぞきこまれて、『やっぱりそうですよね』などと見知らぬ人から声をかけられる。内心はとても憂鬱(ゆううつ)なのに顔だけはにっこりしなければならない」などと、心情を明かしている。

人類初の宇宙飛行をした旧ソ連のガガーリンは、飛行後、ストレスからアルコール依存になったとも伝えられている。宇宙飛行士は離婚率が高い、との指摘もある。

飛行が決まるまでの待ち時間がとても長く、先が見えないストレスも大きい。

待ち時間の最中に、恋敵の女性を襲撃して逮捕され、NASAに解雇された女性飛行士もいる。唐辛子スプレー缶、金槌、折りたたみ式ナイフなどを用意し、宇宙飛行士の本拠地のテキサス州から、恋敵のいるフロリダ州まで約1600キロを車で走り、恋敵に唐辛子スプレーを噴射して襲いかかった、と報じられた。

NASAはこの事件をきっかけに、心理試験の見直しや、精神的支援策などに乗り出した。日本の企業でも重視されている職場のメンタルヘルス対策だ。事件以前は、宇宙滞在中の対策にばかり目が向いていたが、地上での待ち時間も含めたメンタルヘルス対策が大事だと認識したのだろう。

■宇宙飛行士は「つぶしがきかない」仕事

退職後、宇宙飛行士は何をしているのだろうか。

NASAの飛行士は政治家、大手宇宙企業勤務、宇宙ベンチャー経営、大学教授などさまざまな仕事へ転身している。

JAXAでは1期生の3人は、文部科学省傘下の科学館館長、大学副学長、大学教授に就任した。やはりエリートならではの転身だ。

ただ、宇宙飛行士は、「つぶしがきかない」仕事だと言われている。宇宙で仕事をこなしたことは能力の高さの証明になる。だが、宇宙飛行士ならではの専門性となると、なかなか評価が難しい。

宇宙実験の仕事をしたり、実際にロケットや宇宙船に乗ったりしているが、実験を計画し研究成果を出す科学者や、宇宙船などを開発した技術者という専門家がいてこそできることだ。ユーザーの視点で、宇宙船の操作のしやすさ、乗り心地などを助言する道もあるだろう。

だが、日本政府やJAXAは、独自に人を宇宙へ送り出すロケットや宇宙船の計画を持っていないので、国内では生かしにくい。

可能性がありそうなのは、野口さんが退職記者会見で語ったように、米国の宇宙ベンチャーなどが手掛ける民間宇宙旅行のアドバイスやガイドなどの仕事だ。ただ、NASAの退職飛行士もたくさんおり、競争相手が多い。米国の宇宙旅行ベンチャーが、日本の大富豪を顧客として獲得しようというのなら、日本人の元飛行士が有利になるかもしれないが。


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