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世界有数の宇宙飛行士でも、給与は普通の職員と同じ…野口聡一さんのJAXA退職が示す「日本方式の限界」

PRESIDENT Online

■「燃え尽き症候群的なものがある」

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士として26年間勤務し、3回の宇宙飛行をした野口聡一(57)さんが、6月1日でJAXAを退職した。60歳の定年まで3年を残しての「早期退職」。英雄やスターのように受け止められる宇宙飛行士だが、いつまでも宇宙飛行を続けられるわけではない、やはり組織に所属する”1人のサラリーマン”なんだ、と改めて考えさせられた。

5月25日に東京都内で開かれた退職記者会見で、野口さんは、次々と感慨深い言葉を口にした。

「後進に道を譲りたい」

「(JAXAにいて次の飛行ができる可能性は)限りなくゼロに近い」

「民間人として宇宙へ行ける可能性は半々ぐらい」

「燃え尽き症候群的なものがある」

「JAXAは温かい組織。心地良かった。そのまま心地よく終わるよりも、民間や世界に出て行って、もう一度もまれてみるのが良い」

「JAXAを嫌いになって辞めるわけではない」

定年まで踏みとどまるか、それとも気力も体力もあるうちに、次のキャリアへ転身すべきか。多くのサラリーマンが直面する問題だ。野口さんもそんな揺れる思いを抱いていたように感じられた。そして野口さんが選んだのは新たな道。今後は民間宇宙旅行の水先案内人やガイド役、大学での研究など、幅広い場での活動を目指すという。

さっそく6月20日には、NECグループのシンクタンク「国際社会経済研究所」が、野口さんを7月1日付で理事に招聘すると発表。日清食品ホールディングスも、「カップヌードルミュージアム」(横浜市)の名誉館長に、野口さんが就任したと公表した。早くも活躍の場が広がっているようだ。

■意欲も能力も十分あるのになぜ引退するのか

石川島播磨重工業(現IHI)のエンジニアだった野口さんは1996年にJAXAの飛行士に採用された。2005年、09年、20年と3回宇宙飛行を体験し、国際宇宙ステーション(ISS)滞在日数は延べ335日17時間超。日本人飛行士の中で一番長い。ISSから宇宙空間へ出て作業をする船外活動も4回体験した。20年の4回目の船外活動では、ISSの端まで行き、「この先は死というところまで行けた」「生と死の境界点を見た」と語っている。

まだ意欲も能力も十分なのに、「後進に道を譲る」。サラリーマン人生風に言えば、「役職定年」のようなものなのか。なんだか切ない。

背景にはポスト不足がある。「宇宙飛行の機会」というポストが限られる中、後輩たちに譲らざるをえないということだろう。


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