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創業家のガバナンスリスク露呈 「物言う株主」際立つ存在感

エレベーター大手・フジテックは23日、株主総会直前に社長の内山高一氏の取締役再任案を撤回、内山氏は社長を退任した。退任に追い込んだのは、創業家出身の内山氏とフジテックの間の不適切な取引や権限乱用を指摘した海外投資ファンドの資料だった。創業家によるガバナンス(組織統治)のリスクが露呈したとともに、「物言う株主」の存在を際立たせる事案になっている。

社長の退任が決まった滋賀県彦根市のフジテック本社=23日午前
社長の退任が決まった滋賀県彦根市のフジテック本社=23日午前

香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントは5月19日、インターネット上に特設サイトを開設し、「フジテックを守るために」と題した資料を公開した。フジテックが購入した高級マンションを創業家が私的に使っている疑惑や、内山氏が保有する法人と同社との間で不透明な取引があると訴え、社員が社長宅を掃除する様子を収めたとされる写真まで掲載されていた。

こうした指摘に対してフジテック側は取締役会で「法的にも企業統治的にも問題ない」と結論づけて同月30日に発表した。ただ、その後に別の株主らの間にも疑念が広がり、6月17日には第三者委員会で追加調査する方針を明らかにしていた。

ところが株主総会当日の23日、総会1時間前に内山氏の再任案の撤回が突然発表された。フジテックの広報担当者は「第三者委員会の結果が出るまで社長を退くという判断を下した」といい、総会直前の発表となったのは「社内で調整をしながら判断を下すのに時間がかかったため」とする。今後、第三者委の調査で問題ないことが確認されれば、内山氏の取締役就任を目指す方針も示した。

対して、オアシスのセス・フィッシャー最高投資責任者(CIO)は「株主への説明責任を回避するために直前に再任案を撤回するのは責任逃れであり、失望した」とフジテック側の対応を厳しく批判した。

また、オアシスは指摘のきっかけが内部告発だったことを明らかにした。10人近い告発者がいるという。創業家出身の経営者は求心力が高まり、意思決定が早いという利点はあるものの、フジテックでは創業家の周囲が聖域化して直接指摘できない雰囲気が醸成されている可能性もある。

「創業家のガバナンスリスクが露呈した例でもある」。岩井コスモ証券投資調査部長の有沢正一氏はこう指摘する。さらに「海外ファンドが経営者の不信任を提案することはよくあるが、結果的に退任に追い込む例は珍しい。分かりやすい資料が、多くの投資家の理解を得た結果ではないか。本来、企業統治が正常に働いていれば起きない事例だ」と話した。(桑島浩任)


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