交流サイト(SNS)のツイッターに過去の犯罪歴を投稿された男性が米ツイッター社に投稿の削除を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は24日、「逮捕から時間も経過し、ツイートは長期間閲覧されることを想定していない」などとして、削除を命じる判決を言い渡した。削除を認めなかった2審東京高裁判決を破棄した。同小法廷4人の裁判官全員一致の結論。
インターネット上に残る逮捕歴の削除を巡っては平成29年、ネット検索大手グーグルの検索結果について最高裁がプライバシー保護が情報提供の理由より「優越することが明らかな場合」に削除できるとした基準を提示。SNSについての最高裁の判断は初めてで、ネット上の「忘れられる権利」が問題となる中、一石を投じる判決になりそうだ。
平成24年に建造物侵入容疑で逮捕され罰金刑を受けた東北地方の男性が、実名報道されたネット上の記事を引用したツイートが複数投稿され就職活動に支障が出たとして提訴。1、2審ともグーグルについての基準をもとに判断、1審東京地裁は削除を認めていた。
同小法廷は、逮捕事実を公表されない利益が、ツイートを閲覧し続ける理由に優越する場合には「削除を求めることができる」と指摘。男性が逮捕されてから約8年が経過しており、引用した記事もすでに削除されているとした上で「ツイートは事実を速報する目的で、長期間閲覧され続けることを想定していない」などとして、削除できると結論づけた。