クルマというより“リビング” 団らん空間を追求した新型「ステップワゴン」

コンセプトは「家族のための大空間」

特徴的なのは、2列目や3列目の快適性を高めたことだ。2列目の座面は1列目より40ミリ高い。3列目は70ミリも嵩上げされている。それゆえに、後列からも前方の視界が確保されている。まるで学舎の階段教室であるかのように、あるいは映画館の座席のように、前方が見渡せるのは気持ちいい。例のすっきりとした天井や直線的に伸びる窓枠の効果もあって、3列目でも圧迫感は少ない。

新型ステップワゴン(ホンダ提供)
新型ステップワゴン(ホンダ提供)

しかも、3列目の座面は先代に比較して21ミリも厚くなっている。背もたれは45ミリも天地に高い。これまで3列目はエマージェンシーシートといった趣だった。近所の送迎用がメインであり、ともすれば日常では折り畳むことで荷室を優先にされていることも少なくない、いわゆる“我慢のシート”だったのだ。だが新型ステップワゴンでは、2列目や3列目にすら快適性を求めている。開発責任者の蟻坂(ありさか)篤史氏の言葉を借りれば「3列目が特等席」だというのだ。「家族のための大空間」をコンセプトに掲げた。だから、クルマというよりもリビンクであるかのような配慮が行き届いているのだ。

インテリアの造形はシンブルである。ダッシュボードは一切の凹凸がなく水平基調である。左右の窓枠も、路面に水平に真っ直ぐに伸びる。うねらせたり捻(ひね)らせたりするのが流行の中、気を衒(てら)うことなくすっきりとした空間にしていることは好感が持てる。

たとえば天井も、すっきりとフラットが保たれている。自動車である以上、天井付近にも剛性を保つ必要からルーフが波打つ傾向にある。だがステップワゴンは気持ちいいほどすっきりとした空間を確保しているのだ。

目的地を目指すだけでなく、家族団欒(らん)もまたステップワゴンの目的なのである。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。

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