これまで徹底した「アンチデジタル」の姿勢をとってきたジャニーズ事務所。しかし21世紀以降、その経営戦略に変化が生じている。この連載では、稀代のエンターテインメント企業であるジャニーズが「インターネット」というメディアにどう向き合ってきたのかを中心に、ここ数年の変遷を分析していく。
2020年11月3日、筆者は新宿区役所通りのパセラにいた。古参の嵐担組からのお誘いで、「アラフェス2020」の鑑賞会に参加させていただいたのである。コンサートは二部構成で、パート1(16:30~18:00)はFC会員限定であって、この第一部からみんなで鑑賞しようという試みですね。
この直前にはSexy Zoneが「POP×STEP!? TOUR 2020」の配信ライブをおこなっている。2020年3月から開催予定だったこのツアーは、8月に「中止」が発表されていたが、ジャニーズ事務所が突貫体制で対応した「オンライン配信」というメディアを選択することで、兎にも角にも2020年のうちにコンサートを開くことに成功したのである。
しかもこのコンサートでは、2018年11月から活動休止に入っていた松島聡が部分的にではあるが出演。9月のMUSICDAYで見せたシングル曲「RUN」を、五人体制でふたたび披露している。
この松島君の「療養」と「段階的な復帰」も、まさしく新時代のジャニーズを特徴づける出来事であったと思う。調子が悪くなったら休めばいいし、そのような「休養」を企業・社会はむしろ積極的に後押しするべきなのだ。ジャニーズのタレントも、アイドル/芸能人である以前にまず一人の社会人であり、労働者である……という感覚を、「働き方改革」が呼び掛けられている昨今の日本において、ジャニーズ事務所が率先して常識化してゆくことは希望である。
さて、「アラフェス2020」であるが、大モニターに投影された五人を見て、古参の一人が「今日は松潤さま、お肌の調子がよろしいようで(何よりである)……」とつぶやいていたのが印象深い。ファン投票で選ばれた「アルバム曲」「カップリング曲」「シングル曲」「ソロ曲」などなど二部構成40曲以上が披露され、個人的には相葉君ソロで「Disco Star」が見れたことが嬉しかったのだが、接続環境の影響か、Part1では時々(メモってた限りでは4回)画面が固まることがあり、そのたびごとに「ああ〜! ネット頑張れ〜!」と応援していたことを思い出す。たかだか2年前ほど前の話ですが、今ではそんな感覚無くなりましたよね。