北朝鮮、戦術核を前線配備の可能性 「重要軍事計画」追加、軍組織再編も

    【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会は23日まで3日間開催した拡大会議で、朝鮮人民軍の前線部隊の作戦任務に「重要軍事行動計画」を追加することを決定した。抑止力の拡大、強化に向けた重大問題も審議し、軍事組織の再編案が承認された。北朝鮮メディアが24日に報じた。

    朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議に臨む金正恩党総書記(左から2人目)=平壌(朝鮮中央通信=共同)
    朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議に臨む金正恩党総書記(左から2人目)=平壌(朝鮮中央通信=共同)

    金正恩(キム・ジョンウン)総書記は会議で、軍事力を強化する「実践行動指針」が策定されたと明らかにし、「いかなる敵にも圧勝する強力な自衛力を整え、祖国の尊厳を守るべきだ」と強調した。

    新たな軍事行動計画の内容は伝えられなかったが、韓国を狙った戦術核兵器を運用する任務を前線部隊に与えた可能性がある。金氏は昨年1月の党大会で戦術核兵器の開発に言及。北朝鮮は今年4月に「新型戦術誘導兵器」と称する短距離弾道ミサイルの発射実験を行った際、前線部隊の攻撃力や戦術核運用の効果を高めるものだとし、戦術核の前線配備を示唆していた。

    北朝鮮が7回目の核実験の準備を整えたと分析されているが、戦術核の実用化に向けた核実験を強行する可能性が警戒されている。

    北朝鮮メディアは、韓国側を含む朝鮮半島東海岸の地図を前に金氏らが議論する場面の写真も配信し、対韓国作戦を練り直したことを示唆した。韓国当局は、北朝鮮の今回の決定で軍事的脅威が一層高まったとみて警戒を強めている。

    バイデン米大統領が韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に「核の傘」による拡大抑止の強化を約束する中、これに対抗するための軍事組織の再編も進められるもようだ。

    金氏が委員長を務める中央軍事委の副委員長に核・ミサイル開発を主導しながら一時降格されたとされる李炳哲(リ・ビョンチョル)党書記を選任した。朴正天(パク・チョンチョン)党書記とともに副委員長は2人体制となる。


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