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「人生の成功、失敗は80歳まで分からない」何社もクビになり、3度も破産した男が伝説の起業家になったワケ

PRESIDENT Online

■白いスーツに蝶ネクタイ。車中泊で営業活動

自信をつけたサンダースは、中古車にチキンを揚げるための圧力釜と秘伝のスパイスを積み、家族と一緒にレストランを巡ります。車中泊をしながら、田舎の料理のレシピを売りつけようとする怪しげな老人。サンダースは少なくとも1000回は門前払いを食ったといいます。でも、サンダースにとって断られることなんて屁でもなかったのでしょう。70歳近いサンダースはあきらめずに営業を続けます。

このときサンダースが着ていたのが、あの真っ白なスーツと蝶ネクタイでした。ケンタッキーフライドチキンの店舗前にあるサンダースの人形のスタイルです。サンダースは営業先のキッチンを借りてフライドチキンを作ってから、あのスーツに着替えてフランチャイズを持ちかけたのでした。

どうですか? おいしかったでしょう? と。

このビジネスは大当たりします。最初の1年こそ7店としか契約を結べませんでしたが、翌年からは爆発的にフランチャイズが拡大し、あっという間に数百店の規模に広がっていきました。

■90歳で生涯を閉じるまで、世界中を飛び回っていたサンダース

全米の店舗数が600を超えたとき、サンダースは74歳になっていました。ビジネスが自分の手を離れたと考えたサンダースは、若い実業家のジョン・ブラウン・ジュニアに権利を売って一線から退きます。ジョンはのちのケンタッキー州知事です。

サンダースは走ることをやめたわけではありません。その後もケンタッキーフライドチキンの顔として、日本を含む世界中の店舗を飛び回りました。彼は店舗を一つひとつチェックして回ったんです。自分のレシピがちゃんと守られているかを確認するために。

そして1980年、ケンタッキーフライドチキンの店舗数が世界で6000を超えたころ、サンダースは90歳で生涯を終えました。棺に納められたとき、彼はあの白いスーツを着ていたといいます。

■人生のクライマックスはずっと先

このとんでもない男の生涯から、僕たちは何を読み取ることができるでしょうか。

彼の生涯に社会の変化が大きな影響を与えている点は見逃せません。ガスランプ事業の失敗も、ガソリンスタンドの(一時的な)成功も、サンダースカフェの失敗も、いずれも社会環境の変化が原因でした。サンダースほどの人間でも、環境の変化には勝てなかったのです。

しかし彼はあきらめず、ひたすらトライ&エラーを続けます。

するとあるとき、ふと、今までの人生で張ってきた伏線が一気に回収され、幼少時からなじんできた料理がきっかけとなって、人生がクライマックスを迎える。彼の場合、それは65歳を過ぎてからのことでした。

僕はいつも思うのですが、30代や40代くらいで「成功した」「失敗した」と言うのはやめましょう。不毛です。そもそも何をもって成功というのか難しいですし、それは別にしても、せめて80歳くらいまでは待ちましょう。人生、何がどうなるかなんて分かりません。

サンダースに限らず、歴史上の偉人は多くが遅咲きです。ガンディーや孔子のことを思い出してください。彼らも遅咲きでした。それだけではありません。劉邦も、桓武天皇も、伊能忠敬も、ヘンリー・フォードも、ネルソン・マンデラも、シルヴェスター・スタローンも、みな遅咲きです。

なぜ偉人は遅咲きが多いのでしょうか? 理由の一つは、人は歳を取るほどしょぼくれていくように思われがちですが、実際は逆にどんどん可能性が広がり、加速していくからではないでしょうか。

だから、まだ若いうちから絶望したり有頂天になるのはやめましょう。

あなたの人生はまだ、ちまちまと伏線を張っている段階にすぎません。クライマックスはまだまだ、ずっと先なんです。

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深井 龍之介(ふかい・りゅうのすけ)

COTEN代表。島根県出雲市出身。大学卒業後、大手電機メーカーや複数のベンチャー企業の取締役・社外取締役などを経て、2016年に株式会社COTENを設立。「メタ認知を高めるきっかけを提供する」をミッションに掲げ、3500年分の世界史情報を体系的に整理。数百冊の本を読んで初めて分かるような社会や人間の傾向・行動パターンを、誰もが抽出可能にする「世界史データベース」を開発中。COTENの広報活動として「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」を配信。2019年には、「JAPAN PODCAST AWARDS2019」で大賞とSpotify賞をダブル受賞。Apple Podcast総合ランキング1位。


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