MaaSで消費と移動のデータをかけあわせ モビリティのホットスポット広島県庄原市

    消費データと移動データをかけわせる、世界でもユニークな取組みを行っている地域がある。広島県の庄原市だ。過疎問題に直面している地域にもかかわらず、MaaS(Mobility as a Service)や自動運転の関係者のホットスポットになりつつある。

    消費と移動のデータでかけあわせるとどんなサービスが生まれるのか(Getty Images)※画像はイメージです
    消費と移動のデータでかけあわせるとどんなサービスが生まれるのか(Getty Images)※画像はイメージです

    近年着目されているMaaSは、「データ活用」が新たな側面として着目されている。その多くは、鉄道、バス、タクシーといった公共交通を中心としたデータ活用だ。しかし、大都市部を離れると、ほとんどの地域ではクルマ移動が中心で、公共交通に乗る人は少ない。しかもクルマ移動のデータもあまり活用ができていないのが実情だ。公共交通事業者は交通系ICカードを発行しているが、改札など決済の効率化から始まっており、それをマーケティングに使う動きはこれからになりそうだ。

    またそれ以外のデータ活用をかけ合わせる取り組みはまだ少ない。人はクルマを運転する、公共交通に乗ることが目的ではない場合がほとんどで、買い物や娯楽といった消費データからモビリティサービスを考える方が筋は良いはずであるが、机上で議論されてはいたものの良い事例が生まれにくかった。大手流通企業グループのイオンなどスーパーやショッピングモールが独自のチャージ式などのカードを発行しているが、地域全体の商店を網羅してはいないのではないだろうか。

    普及率9割を誇る地域独自のお買い物ICカード

    庄原市は北東部に位置し、面積が全国の市町村で13番目に広く、市ではあるが、人口が約3.3万人で過疎が進んでいる。このような地域であるからこそ都市部では真似できない取り組みがある。

    地域の商工会が発行し、約9割の住民が使う独自のお買い物ICカード「ほ・ろ・か」「な・み・か」の活用だ。多くの自治体はキャッシュレスを推進するために、PayPayなどを活用しているが、庄原では独自のICカードを有効活用している。「ほ・ろ・か」「な・み・か」にお金をチャージして、飲食店やスーパーなどの加盟店で使うことができ、地域のイベントやボランティア活動などの地域活動に対してポイントで還元する取り組みも行っている。

    市外の企業が提供する決済システムではなく、地域の商店が加盟する独自のお買い物ICカードであり、提供者が地元の商工会であるからこそ、地域の活性化に役立てることができる。


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