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サプライチェーンを変革 ファッションテック系スタートアップの台頭が環境負荷を低減

デロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを東京・大手町で開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげることを狙いとしています。

モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回はFashion Tech(ファッションテック)で、新たな付加価値の提供や販路の拡大、在庫ロスの低減など、ファッションにまつわるさまざまな波及効果が期待されています。

COVID-19の影響でEC化率は大幅に上昇、20%に迫る

国内のファッション市場規模は2000年代前半から縮小し、2016年~19年までは9000億円強とほぼ横ばいで推移していました。矢野経済研究所によると、20年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって約6兆円へと大幅に縮小。21年は若干の回復傾向がみられたものの、依然として苦戦を強いられています。

こうした中、売上高が着実に伸びている領域は、EC(電子商取引)です。15年のEC化率は9%でしたが、COVID-19の影響を受けて20年は20%に迫っています。

2000年以降のファッション業界を振り返りますと、2000年代はファストファッションの台頭によって、製品の低価格化やサイクルの短縮化、世代間の流行格差の縮小といった現象が顕在化しました。2010年代は物事を体験するコト消費への関心が高まって、ECの普及によって日本中どこでも同じ商品が購入できるようになり、地域間でもトレンドの格差が縮小しました。また、15年のパリ協定を契機にサステナブルな社会への取り組みが進みました。

2020年代は、ファッションを取り巻く様々な未来の兆しが出始めた時代で、気候変動などの社会課題に関心が高いZ世代など新たな消費者層が台頭しています。デジタル領域をはじめとする自己表現の場が拡大し、ファッションの在り方も大きな転換期を迎えています。こうした現状を踏まえると、大量生産・廃棄、COVID-19を背景とした課題の解決が業界を取り巻くトレンドといえるでしょう。

需給ギャップの調整で大量生産・廃棄対策を推進

大量生産・廃棄対策として有効なのは需給ギャップの調整です。ユニクロを含む複数ブランドを展開するファーストリテイリングは、AIを活用した需要予測による生産・販売計画の精緻化や、倉庫・店舗への適切な在庫配分などに取り組んでいます。ニコアンド、ローリーズファームなどのブランドを展開するアダストリアは、売り上げの状況に応じて残りの在庫から仕入計画を策定する管理方法を徹底化しています。

リセール市場やシェアリングエコノミーの活性化も、大量生産・廃棄といった課題の改善につながるとみられています。ナイキは自社製品のリセールサービスを導入、買い物客が靴を返品した際には廃棄せず、割引価格で新たな顧客に販売しています。大丸松坂屋百貨店は、月ごとに3着の高級アパレルを自由に選べ、クリーニング不要で返却が可能なサブスクリプション型サービスを提供しています。

デジタルファッションに取り組むブランドが増加

COVID-19の感染拡大を背景に、デジタル資産の非代替性トークン(NFT)や仮想空間であるメタバース市場が拡大し、デジタルファッションに取り組むブランドが増えています。ANREALAGE(アンリアレイジ)はパリ・コレクションで、18点のNFT作品を発行しました。JIMMY CHOO(ジミー チュウ)は、初のNFTとしてアーティストのエリック・ヘイズとコラボした1点ものデジタルアニメ作品をオークション形式で発表、1万7500ドルで落札されました。

COVID-19の流行は〝売らない店〟の進出を後押ししており、そごう・西武や大丸松坂屋百貨店、高島屋といった百貨店が相次ぎ参入しています。とくにマルイは力を入れており、体験型・イベントなど非物販テナントの割合を22年度は50%、26年度には70%まで拡大することを目指しています。


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