電源開発(Jパワー)は28日、東京都内で開いた株主総会で欧州の機関投資家など4者が共同で求めていた脱炭素化の対応強化を求める株主提案を反対多数で否決した。株主提案を巡っては、同社取締役会が提案に反対の意見を表明する一方で、米グラスルイスなど議決権行使助言会社2社が株主提案への賛成を推奨するなど判断が分かれており、総会の議決結果が焦点となっていた。
4者は、欧州の大手資産運用会社の仏アムンディ、英HSBCアセットマネジメント、世界最大級のヘッジファンドの英マングループ、オーストラリアの環境保護団体のオーストラリア企業責任センター(ACCR)。海外の機関投資家らが共同で国内企業に気候変動問題への対応を求めるのは初めて。
Jパワーが単独で保有する石炭火力発電の国内総出力は約840万キロワットで、同社の発電能力の約4割を占める。4者は二酸化炭素(CO2)排出量が他の発電事業者に比べて多く、Jパワーの既存の脱炭素化の取り組みや目標は不十分と指摘。気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」に沿った具体的な計画策定を求めていた。
同日の株主総会でJパワーの渡部肇史(わたなべ・としふみ)社長は「既に気候変動対応で具体的な計画を策定し取り組んでいる」と改めて提案への反対理由を説明。出席した株主に理解を求めた。
総会に出席した東京都在住の70代の男性株主は「脱炭素化を強化する提案はなるほどと思うが、足元で電力需給が逼迫(ひっぱく)している。当面は使える火力発電所などは使わないといけないのではないか」と話していた。
総会は午前10時から1時間37分間行われ、会場に出席した株主は48人、オンラインで参加した株主は最大で約200人だった。