--第5世代(5G)移動通信システムの基地局の販売事業の状況は
「欧州では昨年1年間、商用案件を随分、獲得できた。今期は新規の受注が確実にできると思う。北米とアジアは販売活動を行っているが、いつ、どういう形で実るかはまだ見えていない」
--今期の調整後営業損益(売上収益から売り上げ原価や販管費を差し引くなど調整したもの)は赤字の見通しだが、いつの黒字転換を目指すか
「いまの想定通り、順調にいけば令和6年3月期に黒字転換できるというのがシナリオだ」
--生体認証システムが新興国を中心に採用されているが、今後の展開は
「IDを持たない人に対して、Gaviワクチンアライアンス(途上国へのワクチン普及を目指す国際組織)や世界食糧計画(WFP)などと取り組むさまざまな支援・救済活動での生体認証の活用に可能性があると思っている。NECの顔認証や幼児指紋の技術が貢献できる領域が大きく、国際機関などを含めて連携し、ビジネスとして拡大させたい」
--経済安全保障推進法が成立した
「より実効的にするためには日本におけるセキュリティー・クリアランス(機密情報へのアクセスを一部の政府職員や民間の技術者に限定する資格制度)の確立が必要と考える。米国との協調にあたっては同じレベルが求められ、これは個々の企業単位では不可能だ」(高久清史)
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もりた・たかゆき 東大法卒。昭和58年NEC入社。事業開発部長などを経て、平成30年6月、副社長兼最高財務責任者(CFO)。令和3年4月から現職。大阪府出身。